1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04451117
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 光雄 京都大学, 工学部, 助教授 (30127097)
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Keywords | 集合住宅 / 既成市街地 / 集住空間秩序 |
Research Abstract |
京都に代表されるような、古い町並みを維持してきた伝統的既成市街地においても、近年、中高層集合住宅の建設が盛んに行われるようになった。地場産業の衰退、地価の高騰、既在町家の老朽化など、さまざまな要因がその背景にはある。こうした集合住宅建設は、周辺環境への物理的影響や地域コミュニティへの社会的影響が大きく、多くの建築紛争を導いているにとどまらず、長期にわたって蓄積されてきた伝統的な都市景観や集住空間秩序を崩壊させ、まちの個性が失われていくのに拍車をかける結果となっている。しかし、新しい社会構造の変化に対応し、都心部でのバランスのとれた人口定着をはかっていくためには、保存だけを基調とした都市政策では限界があり、既存市街地の「場所性」を考慮したうえで、適切な都市空間の積層化、集合住宅化を行う必要も認められる。 本研究は、こうした状況をふまえて、伝統的既成市街地の特質を明らかにし、その空間秩序を再編する方法を見出し、伝統的既成市街地にふさわしい集合住宅(「町家型集合住宅」とよぶ)のあり方とその実現方策を総合的に検討することを目的としたものである。 本年度は、「町家型集合住宅」の計画に必要な基礎的調査研究を行った。 (1)伝統的既成市街地の空間特性分析 京都市都心部の伝統的既成市街地の空間特性を市街地の歴史的形成過程を考慮して分析し、その集住空間秩序の内容を具体的に明らかにした。 (2)既在集合住宅の敷地・建築特性分析 京都市都心部に建設された既存集合住宅の敷地・建築の特性を建築確認申請等の分析を通じて統計的に解明し、当該地区固有の敷地の条件や建築計画の傾向について考察した。 (3)地域特性を考慮した集合住宅事例の分析 本研究は、主として京都市都心部を対象として行うが、他都市の関連事例を体系的に収集・分析することによって計画上の参考資料を得、また、京都市の特質をより明確にした。
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