1993 Fiscal Year Annual Research Report
「ようこう」軟X線望遠鏡による太陽フレアと太陽コロナの研究
Project/Area Number |
04452012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内田 豊 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90012814)
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Keywords | 「ようこう」衛星 / 太陽フレア / 太陽コロナ / 磁気リコネクション / 太陽軟X線望遠鏡 / マイクロフレア |
Research Abstract |
本研究費でにより、「ようこう」衛星の軟X線望遠鏡のデータ解析で大きな成果が得られた。軟X線望遠鏡のデータより、太陽コロナの磁場構造がスカイラブ衛星によって示唆されたような静的なものではなく、ダイナミックにその構造を変化させるトランジエントな現象の集合であること、さらにこれらのトランジエントな現象は、磁気リコネクション(磁力線つなぎ替え)により生じていることを、初めて示した。主な成果をまとめると以下のようになる:(1)「ようこう」により発見された、通常のフレアより、エネルギー規模が数桁小さいフレア(マイクロフレアとよんでいる)について、発生頻度分布がべき型であることを発見した。マイクロフレアの集合が、コロナを加熱している可能性があり、極めて興味深い研究項目となっている(大学院生との共同研究)。(2)コロナルホールの温度は、スカイラブの観測結果から、温度の低い領域と考えられていたが、「ようこう」の画像データに散乱の影響などの補正を施すことにより、静穏領域(活動領域を除く)とほぼ同じ温度にあることを発見した(大学院生との共同研究)。(3)活動領域ループの解析から、スカイラブで得られていたスケーリング則が成立していることをより高い精度で確かめた。また、ループの長軸にそった温度勾配から、コロナ加熱がループの頂上付近で集中的におきている可能性があることを確認した。(4)フレアのメカニズムについて、磁気リコネクションによって生じたアルベン速度に近い高速ジェットが磁気ループの頂上付近で乱流渦を生成し、これのダイナモ効果により沿磁力線電流・電場が生じ、粒子加速が起きるという新しい考え方を提案した。この考え方では、「ひのとり」の観測にもとずいて提案した沿磁力線電場の発生が自然に説明でき、さらに沿磁力線電流は、双方向に発生しうるために、大電流の困難が生じない。
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[Publications] Y.Uchida: "New Aspects of Solar Coronal Physics Revealed by Yohkoh" Physics of Solar and Stellar Coronae. 97-111 (1993)
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[Publications] S.Tsuneta: "Dynamics of the Solar Corona Observed with the Yohkoh Soft X-ray telescope" Physics of Solar and Stellar Coronae. 113-130 (1993)
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[Publications] S.Tsuneta: "Solar Flares as an Ongoing magnetic Reconnection" Proceedings of the Yohkoh Symposium. (1993)