1992 Fiscal Year Annual Research Report
ミリ波帯偏波計による銀河系および近傍銀河中心領域の磁場構造の観測
Project/Area Number |
04452017
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
坪井 昌人 国立天文台, 電波天文学研究系, 助手 (10202186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浮田 信治 国立天文台, 電波天文学研究系, 助教授 (20184989)
半田 利弘 東京大学, 理学部, 助手 (40202270)
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Keywords | 銀河中心 / 銀河磁場 |
Research Abstract |
今年度はまず誘電体型の回転式円偏波発生器と直線偏波発生器を組み合わせミリ波偏波計を製作し、その特性を測定した。偏波観測での精度を決定する偏波計の交差偏波(クロスポーラゼーション)感度は43GHz付近で信号に対して5%以下であり、予定した以上の性能が確認された。そしてこれを野辺山45m鏡に取付け、惑星を観測することにより電波望遠鏡の偏波特性を測定した。偏波計込みの装置に起因する偏波率は最大3%以下であった。またこの値の抑角依存性を求め補正式を作った。これらの精度は偏波率数十%と予想される銀河系中心の偏波プルーム付近の観測には十分な値であった。さらに銀河系中心領域の撮像直線偏波観測を3月中旬に実施することができた。降雪のため観測時間が限られ、またくわしくは解析中であるが幾つかの新しい知見が得られた。まず銀河系中心自体の偏波率を測定した。銀河系中心自体は電波域ではシンクロトロン放射で光っていると考えられいるが、10GHzまででは偏波は受からず、ファラディー効果による消偏波が強いと解釈さていてる。消偏波は波長の自乗に反比例するため、ミリ波帯ではこの効果は効かず銀河系中心も偏波していることが予測されていた。しかし、この観測により43GHzにおいても2%以下の偏波率しか示さないことがわかった。これは銀河系中心の周囲の熱電子の密度が予想に比べ極めて高く、ミリ波領域でも消偏波が効いているためと考えられる。またファラデー回転測度が2000rad/m^2以上と大きくこれまでの比較的低周波数の観測では偏波観測できなかった銀河中心アーク領域では偏波成分が受かった。したがって銀河系中心でも中心を数十パーセク離れるとミリ波で磁場構造を観測できることがわかった。この観測自体は時間不足のため構造を出すだけの感度を実現できなかったが、さらに観測時間を増やせばこの部分の磁場構造が明らかになる可能が大きい。
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