1992 Fiscal Year Annual Research Report
2次元超イオン導電体の伝導面の不規則性とフラクタル構造の研究
Project/Area Number |
04452032
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
服部 武志 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (20029234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯上 浩雄 東北大学, 科学計測研究所, 助手 (60192803)
石亀 希男 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (40006143)
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Keywords | 超イオン導電体 / 2次元伝導面 / 不規則性 / フラクタル / β-アルミナ / Crイオン / 発光 / 時間分解分光 |
Research Abstract |
主要設備であるマルチチャンネル光検出器を分光器に組み込み、時間分解蛍光測定系を組み上げ、種々の伝導イオンを含むβ-アルミナの不純物Crイオンからの発光の測定を行い、以下の成果を得ている。 I.Na_<1-X>Ag_Xβ-アルミナの時間分解スペクトルの詳細を測定し、次の結果を得た。 (1)Na_<0.7>Ag_<0.3>β-アルミナの発光の減衰は拡張指数関数で表せることを見いだした。更に、それを特徴付けるべき定数がガラス転移点近傍のガラスの比熱の温度変化を特徴付けるものと等しくなった。 (2)Na_<1-X>Ag_Xβ-アルミナの減衰時間の異なる2種類の発光の内、遅い発光がフォノンサイドバンドを伴っている事を確かめた。更に、純電子遷移のバンドと1フォノンサイドバンドの強度比(電子格子組互作用の大きさ)はX=0.3で最大になった。 (3)Na_<1-X>Ag_Xβ-アルミナの共鳴発光で得られた15kでの発光の均一幅はX=0.3の時最も狭くなった。 (4)以上(1)、(2)、(3)の結果は、少なくともNa_<0.7>Ag_<0.3>β-アルミナの伝導面の構造が、不規則系でありながら特別な規則性を持ったものと考えると理解でき、今後フラクタル構造との関連で議論できる事を確かめた。(第9回固体イオニクス国際会議発表予定) II.Na_<1-X>Ag_Xβ-アルミナのイオン伝導機構を伝導面の不規則性と関係づけて調べるために、準弾性光散乱スペクトルを測定し、この系では微視的に見ると温度領域で異なる2種類の活性化エネルギーがあることが分かった。(東北大学科学計測研究所報告発表予定) III.Na_<1-X>Li_Xβ-アルミナの時間分解スペクトルを測定し、Liを含むβ-アルミナ中のCrの発光は1つの拡張指数関数的減衰を示す事を見いだした。現在、伝導面の不規則性と関係づけて解析を行っている。
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