1992 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒分光法による励起子格子強結合系の動的緩和と構造変化の研究
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04452040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷村 克己 名古屋大学, 理学部, 助教授 (00135328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 新男 名古屋大学, 工学部, 教授 (50159068)
伊藤 憲昭 名古屋大学, 理学部, 教授 (90022996)
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Keywords | フェムト秒分光 / 励起子格子強結合 / 光誘起構造変化 / 自己捕獲励起子 / 共鳴ラマン散乱 / CaF_2 / SiO_2 |
Research Abstract |
本研究は、CaF_2、SiO_2に対して、励起子の自己捕獲とその結果生ずる構造変化をフェムト秒時間分解分光と時間分解共鳴ラマン散乱分光法を用いて解明しようとするものである。現在までに、これらの高度な測定が行えるまでに対象物質中の自己捕獲励起子の分光学的特性を明確にする研究と装置の改良特に検出波長域の紫外化を終え、実際の実験研究を行えるまでに至っている。特に(1)においては、ナノ秒電子線パルスと紫外偏光レーザをもちいて、CaF_2中の自己捕獲励起子の電子状態を新たに解明した他、SiO_2中の構造変化を結晶とアモルファスで研究し、アモルファス中で誘起される構造変化に対し、微視的な重要かつ新たな知見をえた。これらについては、現在論文を執筆中である。一方(2)の装置の改良については、今年度の経費によって購入した分光器と検出器及びいくつかの光学部品を用いてほぼ所期の目的を達するに至っている。 現在、共鳴ラマン散乱の実験を先行して行っているが、CaF_2中の自己捕獲励起子の正孔遷移に共鳴する共鳴ラマン散乱の実験にによって、F_2による650cm^<-1>の伸縮振動周波数を観測した。現在電子遷移に共鳴するラマン散乱の測定を行っており、これらによって、CaF_2中の変化に対する構造的側面が明かになる。同様な研究をSiO_2についても行い、所期の1つの目的を達成する。 今後早急に改善すべき問題点は、フェムト秒分光に用いる紫外レーザ光の強度である。予備実験によって、フェムト秒パルスのエネルギーを5〜10倍増強する必要が判明し、(1)増幅系を更に一段増やして基本波のエネルギーを増す、(2)非線形光学結晶を更に良質のものと交換するという作業と改良を行っている。これにより、明確な知見が得られるにたる強度が実現できるものと確信している。
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