1992 Fiscal Year Annual Research Report
液体H^^3eにおける第ゼロ音波吸収の量子効果の検証
Project/Area Number |
04452050
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
奥田 雄一 東京工業大学, 理学部, 助教授 (50135670)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 宏一 東京工業大学, 理学部, 助手 (10219496)
|
Keywords | 液体H^^3e / フェルミ液体 / 超音波吸収 / 第ゼロ音波 |
Research Abstract |
これまでに,高性能の400MHzのZn0トランスデューサ,W/SiO_2の反射防止膜が出来上がり,液体ヘリウム3を実際に冷却して,400MHzの第ゼロ音波の観測に成功した。Laで希釈したCMN温度計が未完成であるので(H^^3e融解圧温度計を使って実験),液体H^^3eそのものの温度は測れていないが,ゼロ音波領域(10mK以下)で温度の下降とともにT^2に比例して信号が大きくなっていくことが確認されている。液体H^^3eの最低温度は現在のところ約1.5mkで,超流動転移には到っていない。しかしながら,絶対零度への外挿によて,超音波吸収の量子極限の値がランダウの予想した程度以上あるのではないか,というところまでの知見が得られている。 第ゼロ音波吸収の量子効果の大きさは,やはり小さく,その検証には高精度の実験が要求される。本補助金で購入したBoxer積分器等でS/N向上を目指しているが,現在よりもう一桁上げる必要がありそうである。さらにcoolingとwarmingとで信号にヒステリシスが見られるので,厳密には吸収のT^2依存性は見ていないことになるが,第ゼロ音波の信号はすでに捕らえ,絶対値のおおよその見積が出来たのは大いなる成果であると言える。この結果は本年8月にアメリカで開催される国際低温物理学会議で発表する予定である。 今後(次年度),Laで希釈したCMN温度計,Pr-NMR温度計を完成させ,液体H^^3e自信の温度を正確に測り,信号の絶対値をもう一桁上げて測定することにより,標記のテーマに結論を出せるものと期待している。また,400MHzでの音速測定も開始しており,音速の量子極限についても知見を得たいと考えている。
|