1993 Fiscal Year Annual Research Report
低速多価イオンの多電子系原子分子との衝突における多電子捕獲と電子放出過程の研究
Project/Area Number |
04452059
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Research Institution | Tokyo Metoropolitan University |
Principal Investigator |
奥野 和彦 東京都立大学, 理学部・物理, 助教授 (70087005)
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Keywords | 多価イオン / 電子捕獲過程 / クーロン解離 / 2価分子イオン / 反応断面積 / フランク・コンドン原理 / 同時計測 / オービティング効果 |
Research Abstract |
本研究の当該年度においては、初年度に引続き低速多価イオンの電子捕獲反応断面積測定を継続すると共に、初年度に開発した同時計測実験法を用いて低速He^<2+>イオンとH_2やN_2分子衝突で生成された2価分子イオンのクーロン解離の研究を行うことができた。 本年度の反応断面積測定では、Ar^<q+>-H_2衝突系においてq=9と11の低エネルギーデータが補充され、Ar^<q+>-He衝突系でq=6、7、8、9、11に対する0.1から400eV/amuの低エネルギー領域における1電子及び2電子捕獲過程の反応断面積の絶対値を測定し、H_2標的と同様He標的においても低エネルギー側で分極力による反応断面積の増大、いわゆるオービティング現象を見い出し、その現象のイオン電荷数依存性についての新しい知見を得た。また、C^<4+>-Ne、Ar、Kr衝突系の断面積測定では、標的原子の電子数の増大と共に多電子捕獲の寄与が増大することを明らかにし、Kr標的においてC^<4+>イオンの中性化反応(4電子捕獲反応)が起こることを見いだした。 低速He^<2+>-H_2、N_2衝突における同時計測実験では、生成された(H_2)^<2+>および(N_2)^<2+>2価分子イオンからクーロン解離によるフラグメントイオン対の同時計測、並びに、イオン対の運動エネルギー分布測定に成功し、従来の予想に反し、低エネルギー衝突ではH_2標的において2電子捕獲過程が重要になっていること、そして、H_2およびN_2標的の何れの2価分子イオン生成過程においてもフランク・コンドン原理が成り立っていることを実証した。
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[Publications] 奥野和彦: "小型多価イオン源(Mini-EBIS)の開発" 日本物理学会会誌. 47. 285-292 (1992)
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[Publications] Kazuhiko Okuno: "Single-and double-electron capture in ^3He^<2+>-H_2 collisions at low energies from 1 to 200 eV" J.Phys.B:At.Mol.Opt.Phys.,. 25. L105-L108 (1992)
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[Publications] Kouichi Soejima: "Cross sections for single and multiple electron capture in low energy collisions of C^<4+> with H_2,O_2 and N_2" J.Phys.B:At.Mol.Opt.Phys.,. 25. 3309-3014 (1992)
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[Publications] Kazuhiko Okuno: "Coulomb explosion of (H_2)^<2+> Produced in electron capture collisions of multiply charged ions with H_2 at low evergies." Proc.of the Joint International Seminar on Afomic and Molecular Physics. 151-155 (1992)
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[Publications] Kouichi Soejima: "Malti-electron-capture processes by C^<4+> from CH_4,C_2H_6,C_3H_8 and n-C_4H_<10> in energyrange 0.7-400eVu^<-1>" Organic Mass Spectrom.28. 344-348 (1993)