1992 Fiscal Year Annual Research Report
C_<60>クラスターによる低エネルギー電子衝突過程の研究
Project/Area Number |
04452060
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田中 大 上智大学, 理工学部, 助教授 (20119134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 昌博 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (70110723)
L ボーステン 上智大学, 理工学部, 講師 (10119141)
大橋 修 上智大学, 理工学部, 教授 (80053627)
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Keywords | カーボンクラスター / 低エネルギー電子分光 / フラーレン |
Research Abstract |
本研究はC_<60>クラスター単分子と高分解能低エネルギー電子とクロスビーム法で衝突させることで、C_<60>単分子の電子状態・振動状態を散乱電子のエネルギー損失分光で調ベることを目的とした。初年度の計画は予定通り進み、所定の成果を上げることができた。 1実験装置の整備:C_<60>クラスター単分子発生源として、高温Kセル蒸発装置を新しく開発し、クロスビーム法に必要な強度と安定度を備えたC_<60>ビームの生成を可能とした。Kセル中にキャリアガスをC_<60>ビームと同時に流せる構造を持ち、入射電子の調整と散乱断面積の規格化ができるような工夫をした。キャリアガスの排気効率及びC_<60>の分光系への付着を少なくするための差動排気系を増設した。既存の電子分光系にKセルを設置し1〜100eVの低エネルギー領域でC_<60>単分子による電子衝突実験を可能とした。 2得られた成果:C_<60>振動励起、電子励起を電子エネルギー損失スペクトルで調べ、光・高エネルギー電子による固体及び表面、また溶媒中で得られている、これまでの結果との比較を行った。特に、理論より期待されている固体に特有な電子の集団励起(σ-πプラズモン)は、今回の測定で確認できなかった。1〜10eVという低エネルギー領域で、弾性散乱微分断面積の測定を行い、断面積の絶対値の検討、ならびに大きい分子に特有な大きな角運動量の寄与についての特徴等の多くの知見を得た。予備実験としてC_<60>以外の分子についても、低エネルギー電子・光電子分光、マイクロ波分光の測定を実行した。これら成果については、日本物理学会、C_<60>シンポジウム、論文としてすでに発表した。
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[Publications] L.Boesten et al: "Crossed-beam experiment for the scattering of low electrons from CF_4" J.Phys.B.At.Mol.Opt.Phys.25. 1607- (1992)
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[Publications] L.Boesten et al: "Rational function fits to the non-resonant elastic DCS for e+He collisions,0°〜180°,0.1 to 100eV" Atomic Data. 52. 25- (1992)
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[Publications] T.Sakaizumi et al.: "The Microwave Spectra of Benzocyclobutenone and its Deuterated Speices" J.of Mol.Spectrosc.154. 61-71 (1992)
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[Publications] S.Shogen et al.: "Structural Study of Self-assembled Monolayer of Ferrocenylalkanethiols on Gold by Angle Resolved X-ray Photoelectron Spectroscopy" Appl.Organometal.Chem.6. 533-536 (1992)