1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04452066
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
清水 洋 九州大学, 理学部, 助教授 (50178985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 一也 九州大学, 理学部, 教授 (10037202)
松島 健 九州大学, 理学部, 助手 (40222301)
松尾 のり道 九州大学, 理学部, 助手 (70108645)
馬越 孝道 九州大学, 理学部, 助手 (30232888)
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Keywords | 雲仙火山 / 普賢岳 / 噴火 / 地震活動 / マグマ溜まり / マグマ上昇経路 / 溶岩ドーム / 低周波地震 |
Research Abstract |
平成5年度では、主に地震波形の解析によって,平成4年度の研究で推定されたマグマ溜まりの位置と上昇経路をさらに検証するとともに,溶岩ドームの形成・成長にともなって発生する地震と地殻変動の観測から、溶岩の湧き出し口近傍でのマグマの挙動を解明することをめざした。 溶岩ドーム出現以前に活発であった高周波地震の高精度震源分布や地殻変動データから,千々石カルデラの深さ10数kmにマグマ溜まりがあって,マグマは普賢岳に向かって東方に斜めに上昇したと推定される。そこで,地震波の減衰を調べ、これを検証した。その結果,われわれの推定したマグマ上昇経路付近を通過する地震波には,S波振幅の顕著な減衰と波形包路線の紡錘形化が認められた。 一方,溶岩ドーム出現後は普賢岳山頂部のごく浅所で地震が多発しており,溶岩ドーム近傍の山体の地殻変動をともなうこともある。われわれは,溶岩ドーム近傍に地震観測網を展開することによってこれらの震源を精度良く決定し,溶岩ドームの空中観察や地殻変動観測データとあわせて,地震および地殻変動の発生機構を検討した。その結果,これらの地震および地殻変動は,火道からのマグマの突き上げによりドームを構成する溶岩ブロックや火道壁がスティックスリップをおこしながら外側へ押し出されることによって発生したと推定される。 以上のように,本研究によって雲仙火山の噴火活動をもたらしているマグマの位置・上昇経路や出口近傍での挙動について重要な知見を得ることができた。今後は地震波の減衰等により定量的に調べるとともに,今回見いだせなかったマグマ上面からの反射波の検出を試みていきたい。
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[Publications] 太田一也: "1990-1992年雲仙岳噴火活動" 地質学雑誌. 99. 835-854 (1993)
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[Publications] 清水洋・他: "雲仙・普賢岳の火砕流の振動記録" 月刊地球. 15. 512-519 (1993)
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[Publications] 大見士朗・他: "雲仙普賢岳溶岩ドーム近傍におけるGPS観測" 火山. 38. 129-133 (1993)
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[Publications] 馬越孝道・他: "雲仙岳噴火活動中の九州中西部の地震活動" 自然災害西部地区部会報論文集. 16. 1-10 (1993)
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[Publications] kodo UMAKOSHI et al.: "Seismic Observations and infrared thermal surveys of the 1990-1993 eruption of Unzen Volcano" Journal of Natural Disaster Science. 15(印刷中). (1993)