1992 Fiscal Year Annual Research Report
衛星データ解析によるアンデス・パタゴニア地域の氷河変動特性とメカニズム
Project/Area Number |
04452068
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
成瀬 廉二 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (10002099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白岩 孝行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (90235739)
安仁屋 政武 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (10111361)
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Keywords | 衛星データ / パタゴニア / 北パタゴニア氷原 / 南パタゴニア氷原 / 氷河変動 / 氷河地形 / 氷河前進 / 氷河後退 |
Research Abstract |
南パタゴニア氷原のティンダル氷河は、現在、末端から約18km上流の左岸側で小さな2つの氷舌が流出している。これらは過去には左岸の谷まで流出し、谷全体をうめていた。その結果、岸壁には顕著なtrim line(樹林帯境界線)が見られ、谷底と側壁には多くのモレーンが分布している。 平成4年度には、このような氷河地形を基にして、過去の氷河状態・氷河分布をシミュレーションする目的で、この地域一帯のディジタル・マッピングを行った。使用した資料は、1975年チリ空軍撮影の縮尺約1:75、000の空中写真である。解析図化機を用い、モレーン、リニアメント、trim lineなどの地形要素をそれぞれのレイヤーとして、x、y、z座標で記録して図化した。等高線間隔は、急斜面では25m、緩斜面では10mとした。 北パタゴニア氷原では、1975年撮影の空中写真から作成された地形図を編集し、等高線間隔250mの10万分の1と20万分の1地形図を安仁屋が1987年に作成した。平成4年度にはこれをドラム・スキャナーにかけて等高線をディジタル化した。さらに、1975年の氷河縁辺の状態をディジタイザーでディジタル化した。 これらの結果と、過去に行った現地調査結果をもとにして、パタゴニア氷原から流出する十数個の氷河変動の様子が明らかになった。すなわち、多くの氷河は近年の20〜30年間、著しい後退傾向を示しているが、隣接している流域でも前進傾向の氷河もあるなど、興味深い現象が得られた。 研究成果は、次年度の研究結果とあわせてシンポジウム、論文等にて公表する予定である。
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