1993 Fiscal Year Annual Research Report
衛星データ解析によるアンデス・パタゴニア地域の氷河変動特性とメカニズム
Project/Area Number |
04452068
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
成瀬 廉二 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (10002099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安仁屋 政武 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (10111361)
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Keywords | 衛星データ / パタゴニア / 南パタゴニア氷原 / 氷山分離 / 氷河変動 / 質量収支 / 氷河前進 / 氷河後退 |
Research Abstract |
1.氷河変動の解析および地理情報システムの構築 平成4,5年度において、南アメリカ大陸南部の南パタゴニア氷原(南北約350km,東西50km)をカバーするリモートセンシングデータの収集に努めた。入手し、解析に供したデータは、1986年のランドサットTM、1976年の同MSS、1987年・1991年のスポットデータ、1978年のサリュートデータ、および1945年以降適時撮影された空中写真である。これらのデータをもとに、南氷原から東西南北に流出する8つの代表的な氷河を研究対象に選び、各氷河の輪郭の位置および氷河構造の諸特徴をディジタル化した。 過去41年間の氷河末端変動に関し得られた結果は次の通りである。Jorge Montt氷河は2.2km、O'Higgins氷河は13.4km、Upsala氷河は2.6km、Tyndall氷河は3.9km、Occidental氷河は1.0kmの後退、一方、Bruggen氷河は5.3〜8.4km、Moreno氷河は0.6kmの前進であった。この様に、同一地域内の隣接している氷河でも、後退・前進が逆傾向であったり、変動量に著しい差異が認められた。このような現象は、単純な地球温暖化や降雪量の増減では説明がつかず、今後は氷河ダイナミックスの点から原因を探る必要がある。 2.氷河変動の数値実験 パタゴニア地域の氷河変動の特性を明らかにするために氷河の質量収支モデルにより数値実験を行った。上記の8氷河はすべて、フィヨルドまたは湖へ末端が流出しているcalving(氷山分離)型氷河である。 主な実験結果は次の通りである。気候変動にともない平衡線高度が200m上昇したと仮定した場合、Upsala氷河では末端が600m上昇し、Moreno氷河では50m上昇する。この差異は、両氷河の流域面積の高度分布の差、およびcalving量の質量収支に占める割合の差に帰因すると考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masamu Aniya: "Monitering recent glacier variations in the Southern Patagonia Icefield,utilizing remote sensing data." International Archives of Photogrammetry and Remote Sensing.XXIX. 87-94 (1992)
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[Publications] 安仁屋 政武: "リモート・センシング・データ解析による南米・南パタゴニア氷原の最近の氷河変動" 東大生産技研フォーラム論文集. 188-197 (1994)