1994 Fiscal Year Annual Research Report
衛星データ解析によるアンデス・パタゴニア地域の氷河変動特性とメカニズム
Project/Area Number |
04452068
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
成瀬 廉二 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (10002099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安仁屋 政武 筑波大学, 地球科学系, 助教授 (10111361)
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Keywords | 衛星データ / パタゴニア / パタゴニア氷原 / 気候変動 / 氷河変動 / 質量収支 / 地理情報システム / 氷河台帳 |
Research Abstract |
1.氷河の地理情報システムの構築 アンデス地域南部、南パタゴニア氷原(南北350km,東西50km)から東西南北に流出する48個の氷河について、地理情報のInventory(氷河台帳)を作成した。使用したデータは、ランドサットTM(1986.1.14)のバンド1,4,5,およびチリが発行した地形図、白黒空中写真である。 南氷原で最も大きい氷河はBruggen氷河で、全長64km、面積1275km^2涵養域面積比(AAR)0.80であることが分かった。48の氷河の平衡線は高度700mから1500mの間に、また氷河末端は高度0mから300mの間に分布している。今後はさらに、氷河の表面状態、周辺の植生等の情報も数値化する計画である。 2.氷河変動の数値実験 氷河の消耗にcalving(氷山分離)量を含めた質量収支モデルにより、南パタゴニア氷原東側のUpsalaおよびMoreno氷河の変動過程をシミュレーションした。その結果、気候変動により平衡線高度が100m上昇した場合、Upsala氷河の末端は200-350m上昇し(5-8kmの後退に相当)、Moreno氷河の末端は70-100mしか上昇しないことが明らかとなった。 北パタゴニア氷原のSoler氷河では、積算気温法を用いた質量収支モデルにより、涵養量減少または気温上昇が氷河の変動に与える影響を数値実験により調べた。その結果、涵養量(降雪量)が20%減少した場合、氷河末端は50mしか上昇しないが、気温が1℃上昇した場合、平衡線は約100m上昇することが分った。今後は、氷河底面すべりを含めた氷河モデルにより、Soler氷河の変動特性を数値実験する。
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[Publications] Renji NARUSE: "Recent variations of calving glaciers in Patagonia,South America,revealed by ground surveys,satellite-data analyses and numerical experiments." Annals of Glaciology. 21(印刷中). (1995)