1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04452069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 豊 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011493)
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Keywords | 昭和基地 / 水位変動 / 季節変化 / 40日周期 / カタバ風 / 海流変動 / 表層塩分 |
Research Abstract |
わが国の昭和基地では20年を超す連続的な水位変動の観測が行われており、このような記録は南極大陸周辺においては唯一のものである。この記録を解析してその変動特性を季節変動を中心に調べた。昭和基地では水位が冬季(6-8月)に上昇して、夏季に低下するが、その10年間平均の季節変動を求め、その波形の歪を正確に記述することを試みた。最大水位は冬季に現れるが、その峯は非常にフラットであり、これに対して夏季の谷は非常に尖っている。また、秋口の水位上層の速度は速いが、春から夏にかけての水位降下の速度はゆるやかである。また、季節変化の波形は年によって著しく異なることが示された。この特性は、中緯度のわが国周辺等とは著しく異なっている。本年度では、関連すると思われる周辺の気象・海象との対比を前年度に引続き検討している。沖合いの海流の変動、海洋中の塩分濃度と表層厚の変化、気圧・風速等の気象要因との相関については、前年度まではオングル水道における観測結果と定性的に対比するにとどまったが、今年度には最近のルッツホルム湾の冬季観測結果との対応を見た。この結果はオングル水道での季節変化がかなりこの海域の代表性をもつことが明らかになった。今までに見出された現象で、最も相似の季節変化を示すのは南極に卓越するカタバ風である。しかし、昭和基地での風速変化との相関は良くない。大陸斜面上に卓越するカタバ風が、どのようにして海面水位に影響するのか問題であるが、沿岸の観測点でもマラジョージナヤ等では、同様の季節変化を示しており、この点の解明を予定したが、データ取得等に手間取り、これは最終年度に持ち越した。この他、オホーツク海沿岸等で同様に冬季水位上昇の起こる原因を調べたが、この方は宗谷暖流の推移と良く相関を持ち表層の塩分変化が主要な要因であることを突き止めている。
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[Publications] Y.Nagata 他: "Laboratory experiments of dense water descending on continental slope.in Deep Ocean Circulation-Physical and Chemical Aspects.ed.T.Teramoto" Elsevier Oceanogr.Seris. 59. 333-350 (1993)
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[Publications] Y.Nagata 他: "Seasonal variations of the sea level at Syowa Station." Proc.of NIPR Symposium on Polar Meteorology and Glaciology. 7. 60-72 (1993)