1992 Fiscal Year Annual Research Report
階層構造をもつ赤道中層大気力学システムの総合的研究
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04452072
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣田 勇 京都大学, 理学部, 教授 (70025485)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 敏 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (30144299)
余田 成男 京都大学, 理学部, 助教授 (30167027)
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Keywords | 赤道成層圏 / 平均東西風 / 準二年周期振動 / ケルビン波 / ロスビー重力波 / 内部重力波 |
Research Abstract |
1.シンガポール(1°N、104°E)におけるラジオゾンデ観測データを用い、1974年から1988年の15年間にわたる赤道成層圏ケルビン波の振舞いを詳しく解析した。ケルビン波は約2週間の周期性を持つ東西風速の変動として検出される。このケルビン波の活動度は、赤道成層圏東西風の準二年周期振動(QBO)と関連している。特にQBOの風が東風から西風に変るときケルビン波は顕著に出現する。この特性を理解するため、赤道波動伝播理論に基づき、波に伴なう運動量の輸送と減衰を、実測の東西風速を用いて計算した結果、観測されるケルビン波活動度の長周期変動が説明されることがわかった。 2.同じくシンガポールにおける気球観測データを、ケルビン波のみならず、平均東西風、平均南北風、ロスビー重力波、内部重力波のすべてに着目して統計解析を行った。解析は目下継続中であるが、上部の種々の運動に関して、現在のところ、次のような観測事実が示されている。すなわち、(1)低緯度ハドレー循環の季節変化に伴なう平均南北風の1年周期変動、(2)対流圏界面温度の半年周期変動、(3)鉛直波長の短い、内部重力波と考えられる擾乱の存在。これらの相互関係は次年度以降の研究課題である。 3.プラムの「QBO室内実験」装置を作成した。予備実験を行い、定在性内部重力波の生成、その上下伝播、および帯状流の生成過程を調べた。QBO型振動を得るには至らなかったが、一方向の帯状流が生じた。また、この装置に直接対応する鉛直1次元数値モデルを作成し、重力波の特性と帯状流生成の実験パラメータ(強制波振幅および振動数)依存性を調べた。数値実験の結果をもとに本実験を開始する。
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Research Products
(1 results)