1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04452084
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
前 晋爾 北海道大学, 工学部, 教授 (80022672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 秀二 北海道大学, 工学部, 助手
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Keywords | 氷単結晶 / 氷多結晶 / マイクロ波 / 誘電率 / 誘電異方性 / 誘電損失 / 酸 / 塩基 |
Research Abstract |
本研究の目的は、近年人工衛星に搭載された合成開口レーダ信号、特に極域で取得された信号の処理及び解析の基礎となる氷結晶のマイクロ波誘電特性を明らかにすることである。 このため、氷単結晶及び氷多結晶、さらに環境汚染物質である酸、ならびに塩を混入した氷結晶を使って、1.5〜35GHzでの誘電率の測定を行った。この範囲の周波数帯では、同一の方法で精度良く誘電率が測定できないため、その周波数に適当な方法により測定を行った。 まず誘電率の実数部は、誘電率そのものよりもC軸と電磁波の偏波方向との関係が問題となる誘電異方性の測定を行なった。現在まで世界各国で行われた測定で検出されていない誘電異方性が測定され、その値は約0.327であった。特に35GHzでファブリペロー方式で測定された値は正確で、この結果から巨大氷体中を伝播する電磁波はマイクロ波領域においても複屈折を起こすことが明らかとなった。 氷多結晶に酸を混入すると、誘電損失が混入量特にmolarityに比例して増大することが明らかとなった。また酸は、結晶粒界及び三叉粒界に偏析していることが、その誘電損失の測定解析から明らかとなった。 氷多結晶に塩を混入すると、共晶点で誘電損失の値が急激に変化することが明らかとなった。これは従来の測定例からみて混入量が微少であっても明白に起こり、混入塩基イオンと電磁波の相互作用について更に追求すべき問題である。 以上の結果を用いて極地氷床へのマイクロ波の浸透深さについても、シミュレーションし、予想以上にマイクロ波が侵入できることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S.Fujita,M.Shiraishi and S.Mae: "Measurement on the dielectric properties of acid-doped ice at 9.7 GHZ" IEEE Trans. On Geoscience and Remote Sensing. 30. 799-803 (1992)
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[Publications] S.Fujita and S.Mae: "Propagation of electromagnetic waves in ice derived from its dielectric properties 1.Wave velocity and bire-fringence" Proc.of the International Symp.on Antennas and Propagation. 3. 869-872 (1992)
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[Publications] S.Fujita and S.Mae: "Propagation of electromagnetic waves in ice derived from its dielectric properties 2.Attenuation" Proc.of the International Symp.on Antennas and Propagation. 3. 873-876 (1992)
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[Publications] S.Fujita,M.Shiraishi and S.Mae: "Measurement of the dielectric constants of ice by the standing wave method" Proc.of International Symp.on the Phys.and Chem.of Ice. 415-421 (1992)
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[Publications] S.Fujita and S.Mae: "Dielectric anisotropy in ice Ih at 9.7GHz" Annals of Glacioloty. 17. (1993)
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[Publications] S.Fujita and S.Mae: "Relation between ice sheet internal radio-echo reflection and ice fabric at Mizuho Station,East Antarctica" Annals of Glacioloty. 17. (1993)