1993 Fiscal Year Annual Research Report
色素分子の二次元集合系におけるコヒーレント状態の解明とその利用に関する研究
Project/Area Number |
04452086
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮野 健次郎 東京大学, 工学部, 教授 (90167677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下村 政嗣 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10136525)
五神 真 東京大学, 工学部, 助教授 (70161809)
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Keywords | 二次元色素集合系 / J会合体 / H会合体 / エキシトン / 蛍光寿命 / ポンプ・プローブ法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、二次元色素集合系に見られるコヒーレントな励起状態の分子的描像を得ることである。この目的のために、第2年度は以下のような研究を行った。(1)試料の作製法を従来型のLB膜や吸着膜からさらに広げて、高分子吸着膜や水面上への蒸着といった新しい方法を試みた。(2)マイカ上への吸着による単分子膜を用いて、4.6Kから室温までの波長選択励起による蛍光スペクトルを観察し、励起エネルギーが段階的に低いエネルギー状態に移行して、最低レベルで発光すること、エネルギーの注入レートが大きいと、より高いレベルに溜り込みが起きることを確認した。(3)吸収スペクトルの温度依存性を詳細に調べ、理論的に予想される2次元のエキシトンの振舞いとよく一致する(低エネルギー側でのアーバック則および高エネルギー側でのローレンツ型の振舞い)ことを確かめた。これは、単分子膜の系では初めて得られた知見である。(4)発光スペクトルは、揺らぎのあるポテンシャル中で極小レベルへ励起エネルギーが落込んだことによるとするモデルとよく合うことが示された。(5)室温における蛍光寿命は数10pS以下と非常に高速であったので、ポンプ・プローブ法による吸収飽和の実験を行ったが、励起条件に問題があり確定的な結果に到らなかった。すなわち、ポンプ光のパルス繰り返し(80MHz)よりも遅い成分が非常に強くあり、現在の実験条件では定常的に吸収飽和が起こってしまっており、ポンプとプローブが時間的に一致したときにはむしろ大きな誘導吸収が起きていることが観測された。この点に関しては今後も研究を続ける予定である。(6)色素集合形態をH会合体にまで広げ、その第2高調波スペクトルを調べることにより、高調波発生では平均場(局所場)近似が系をよく記述することを確かめた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Asano,K.Miyano,H.Ui,M.Shimomura,Y.Ohta: "Adsorption of a Soluble Dye Polymer onto Spread Monolayers" Langmuir. 9. 3587-3593 (1993)
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[Publications] K.Hasegawa,K.Hosoi,A.Tomioka,K.Miyano: "Langmuir-Blodgett Technique without Solvent" Appl.Phys.Lett.64. 664-666 (1994)
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[Publications] M.Kuwata-Gonokami,N.Peyghambarian,et al.: "Exciton Strings in an Organic Charge-transfer Crystal" Nature. 367. 47-48 (1994)
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[Publications] S.Aiba,A.Ohmori,M.Shimomura,K.Miyano: "Non-linear Optical Properties of Stilbazolium LB Films Prepared by Polyion Comprex Technique" Chemistry of Functional Dyes(ed.by Z.Yoshida and Y.Shirota,Mita Press). 500-504 (1993)
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[Publications] H.Ezaki,T.Tokihiro,M.Kuwata-Gonokami,et al.: "Excitonic n-String in Linear Chains" Solid State Commun.88. 211-216 (1993)