1992 Fiscal Year Annual Research Report
スピン偏極したヘリウム準安定原子による表面最外原子層と吸着層の磁気的秩序の解明
Project/Area Number |
04452091
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
西垣 敏 九州工業大学, 工学部, 教授 (60126943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 健二 石川工業高等専門学校, 助手 (50249778)
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Keywords | 準安定原子脱励起分光 / ヘリウム準安定原子 / 表面電子状態 / スピン偏極 / スピン分解電子分光 / 半導体表面 |
Research Abstract |
本研究は、スピン偏極したヘリウム準安定原子ビーム源を開発し、それを用いて表面最外原子層の電子スピン状態を解析することを目的としている。そのため初年度に高輝度のヘリウム準安定原子源の開発、第2年度にスピン偏極ビームの発生、最終年度に表面スピン状態分析という流れで研究を遂行する計画である。 初年度に当たる本年度は、研究代表者の転任に伴う準安定原子脱励起分光装置(既設)の移転作業が主な原因で、新ビーム源の開発が計画より遅れた。 1.高輝度ヘリウム準安定原子源の開発: 重項状態のヘリウム準安定原子の発生効率が高く、一重項状態の原子や紫外領域のフォトンを無視できるビーム源として、ヘリウムガスの差動排気径路軸に沿った冷陰極放電型を採用し、その設計を行なった。来年度前半に製作する予定である。 2.準安定原子脱励起分光装置(既設)による表面最外原子層電子状態の研究: Si(100)表面上のアルカリ金属(K,Cs)吸着およびそれへの酸素の共吸着系を対象にして局所電子状態密度を抽出した。これにより表面における金属原子から外来分子への電子移移を直接検証した。また、外来分子により表面領域に導入された中間ホール状態がオージェ崩壊する際の電子放出も観測し、Siの酸化におけるいわゆる「おそい|プロセスとこの微視的電子プロセスの関係を明らかにした。現在Ge(100)表面上のアルカリ金属/酸素共吸着系の実験を行なっている。SiとGeのアルカリ金属/酸素系に対する反応のちがいの電子的なメカニズムが表面最外層の電子状態解析から明らかにされることが期待される。
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