1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04452117
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸田 路也 北海道大学, 工学部, 教授 (20001159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小田 憲司 北海道大学, 工学部, 助手 (40002208)
佐々木 一彰 北海道大学, 工学部, 助教授 (10153983)
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Keywords | 多結晶 / 力学的挙動 / ひずみ測定 / 走査モアレ法 / ハイビジョン画像処理 / 有限要素法 / 結晶粒界 |
Research Abstract |
多結晶構造体の局部的な力学的挙動は結晶粒の粒度,方位および粒界の状態などの因子に影響される.特に結晶粒界近傍の挙動を調べるため,今年度は実際に多結晶構造を有する試験片に引張荷重を与え,ハイビジョン画像処理装置を用いた走査モアレ法によってその力学的挙動を調べ,研究をまとめることに主眼を置いた.試験材料として純度99.9%のアルミニウムを用い,300℃で30分の予熱の後,数%の圧延を行ない,さらに,620℃で数時間焼きなましを行うにより結晶粒粗大化は可能であるが,試験材料の入手が困難であった.そのため,今回は市販の建築用粗大結晶粒アルミ板材を用いて試験片を製作した.本板材の組成は普通級A1050アルミ相当と推定された.また,結晶粒粗大化ののち非常に大きな圧延加工を施されているため,結晶粒寸法は幅約10〜20mmの帯状となっている.引張り軸に直角な結晶粒界を含む幅20mm,長さ200mmの平板試験片を切出し,表面研磨の後,モデルグリッドを焼付けて供試試験片とした.本試験片に伸び計を取りつけ,伸び計ひずみ1%毎にモアレ画像を取込み,粒界近傍をふくむ領域内のひずみ測定を行った.この結果,結晶粒界近傍でのひずみ分布が求められ,粒界を境にひずみ分布の状態が大きく変化することが確かめられた.伸び計ひずみ5%のとき,粒界前後で約2%と20数%のひずみが測定されるなど、結晶粒の力学的性質により,その力学挙動に大きな差異のあることが分かった.また,結晶粒を正六角形でモデル化した有限要素解析によっても,結晶粒界近傍で応力・ひずみの不連続の存在することが示され,数値解析シミュレーションとも定性的に一致した結果を得ることができた.今後の研究の発展として,今回の研究では導入できなかった金属顕微鏡との併用によって粒界近傍の微視領域でのひずみ測定を行うことなどにより,多結晶構造体の微視的力学挙動をも含めた挙動を明らかにできるものと期待される.
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