1993 Fiscal Year Annual Research Report
壁乱流の準秩序構造に基づいた摩擦抵抗低減機構の解明
Project/Area Number |
04452140
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
笠木 伸英 東京大学, 工学部, 教授 (80107531)
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Keywords | 乱流 / 制御 / 摩擦抵抗 / 秩序構造 / リブレット / 画像処理流速計 |
Research Abstract |
前年度は、3次元画像処理流速計を用いてリブレット壁面上の乱流場を計測し,乱流統計量の挙動をリブレットのごく近傍までを含めて明らかにした.本年度は,得られた瞬時速度場のデータベースを用いて,四象限解析法に基づくコンディショナル・サンプリングにより,壁面近傍の準秩序構造の抽出を行った.特に,レイノルズ応力に正の貢献を持つ,第二象限(イジェクション),第四象限(スイープ)について詳細な解析を行った. その結果,準秩序構造の空間的な姿はリブレット壁面上においても平滑面とほぼ同様であり,壁近傍に流れ方向に軸をもつ直径30〜40υ/u_τ程度の縦渦とそれに伴うストリーク構造が観察された.抵抗低減条件においては,イジェクション,スイープに伴う擬縦渦構造およびストリーク構造は,平滑面と類似の特性を示し,その空間スケールもほとんど変化しない.このことは,リブレット面上での抵抗低減が,壁近傍の準秩序構造の顕著な変化によるものではないことを示唆する.この場合,渦構造に比べてリブが小さく,また相対的な距離が遠いために,渦運動との間にあまり干渉が起こらず,谷の内部に組織的な流体運動は見られない.このことは,谷の内部で乱流諸量が非常に小さな値を持つことと符合している. 一方,抵抗増大条件では,同様の縦渦が観察されるものの,リブと渦中心の距離が相対的に近く,谷内部に渦運動の一部が侵入しており,リブレットが渦構造に大きな干渉を起こしていると推測される.この場合,渦運動が谷の内部に運動量を供給するため,谷内部の壁面剪断が増大し,結果として摩擦抵抗増大につながっている考えられる.また,ストリークの流れ方向長さスケールが減少する等,準秩序構造がリブレットの影響を強く受けることが明らかになった.
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