1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04452145
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
棚沢 一郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30013105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗像 鉄雄 工業技術院, 機械技術研究所, 主任研究官
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Keywords | 伝熱 / 熱・物質移動 / 自然対流 / 密閉容器 / ロールオーバー / 密度成層 / 貫入 / シャドウグラフ |
Research Abstract |
密度差によって安定な成層を形成した2液層が、外部からの熱侵入および2液層間の熱・物質移動に起因する密度の接近によってしだいに不安定化し、ついには上下層の逆転あるいは全体の混合に至る過程、すなわちロールオーバー過程をまずモデル実験によって観察した。試験液体としては、濃度の異なるエチルアルコール水溶液または食塩水溶液を用いた。まず、試験液体を直方体容器中に入れて成層化させ、側面から加熱して自然対流を発生させ、その流動様式をシャドウグラフ法により観察し、同時に熱電対による温度分布測定、トレーサー法による流速分布測定を行った。シャドウグラフ法では、液層中の密度分布が屈折率変化の分布として可視化され、密度の異なる2液層の境界位置の時間的変化が観察された。その結果、加熱開始からロールオーバー発生に至る過程での2液層内流動と境界位置の移動との関係が明確になった。すなわち、加熱によって生ずる2液層内の自然対流に伴う熱・物質移動により2液層の密度差は徐々に減少するが、それにつれて下方液体層側の壁面境界層流れが上方液体層中に侵入を開始する。ついには侵入した境界層流れが自由液面に到達し、両液の急激な混合に至る。本研究者らは、このような下方液体境界層の上方液層中への「貫入」がロールオーバー発生の重要なメカニズムであると結論し、「貫入」発生の条件についてさらに実証実験を行った。まず、食塩水を用いた実験で、壁面境界層内の密度分布を測定するために、微小電極を作成し、液体中の導電度分布から密度分布を求めた。この結果と、トレーサー法による流速分布の測定結果とを対比することにより、「貫入」開始の流体力学的条件を定めた。さらに、フレネル・ホログラフィにより液相中の濃度分布パターンを可視化し、前述の測定結果との比較を行いつつある。さらに、数値シミュレーションを行い、実験結果との比較を行っている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Atita: "Fundamental Study on Rollover of Two Density-Stratified Layer of Liquids" Natural Convection in Enclosures(ed.by P.G.Simpkins and et al.)ASME HTD. 198. 67-72 (1992)
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[Publications] 有田 哲一郎: "2液層のロールオーバー現象に関する基礎研究" 第29回日本伝熱シンポジウム講演論文集. 336-337 (1992)