1993 Fiscal Year Annual Research Report
生物社会の形態に基づいた大規模自律分散システムに関する研究
Project/Area Number |
04452189
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
嘉数 侑昇 北海道大学, 工学部, 教授 (60042090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三上 貞芳 北海道大学, 工学部, 助教授 (50229655)
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Keywords | 非結線性情報伝達 / 自律分散情報処理 / 並列分散システム / 数理生物・生態学 / 振動ポテンシャル法 / 遺伝的アルゴリズム / 強化学習 / 進化 |
Research Abstract |
本研究は、並列分散情報処理システムの新しいパラダイム開発を目的にして、平成4年度から5年度の2年間に亘り行ってきたものである。具体的には、生物生態系社会を大模模情報処理システムと見なし、そこでの基本となる並列分散情報処理機能の数理モデリングの展開、および応用実験を通してそれらの評価を行ってきた。一般に生物生態系社会での情報伝達は、従来の計算機機構情報処理での無意識の前提条件となっているところの、各情報処理単位(情報処理装置)間の有線結線結合とは様相を異にし、匂い、音、あるいはフェロモンなどの情報伝達媒体によりこれを行う。これを工学的に実現するために新しく情報処理を目的とした“場"という槻念を導入し、この場を通じた各処理装置間の情報伝達が行えるような理論構築を行った。昨年度までに構築した振動ポテンシャル法と名付けられた理論は種々の情報を場における振動現象を利用して伝達し、各処理装置は自律的に必要な情報を場を通して獲得できることを理論面・工学的応用面の両面から示した。 本年度は研究計画期間の最終年度ゆえ、生物社会の形態に基づいた大規模自律分散システムの新しい展開の一応の完成を目指して、上述振動ポテンシャル法の更なる展開を行った他に、新しく動的側面から生物生態系社会での本質的重要さである、学習・進化の概念を、大規模情報処理システムの機能に付加する理論開発・評価を行ってきた。すなわち、フェロモンによる蟻の情報処理機構のアナロジィとしてのTSP問題向きアント・アルゴリズムの開発、拡張型遺伝的アルゴリズム(GA)であるフィルタリングGAの開発、階層型Q-ラーニングを含む強化学習理論の展開とその種々の応用、およびアント・コロニー間の餌争奪ゲームを通した協調戦略・行動に直接的影響を及ぼす“学習の質"に関する理論展開とそれらの評価などである。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Y.KAKAZU,H.SAKANASHI & K.SUZUKI: "Adaptive Strategy for Genetic Algorithms with Additional Genetic Algorithms" Paralell Problem Solving from Nature(North Holland). 2. 311-320 (1992)
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[Publications] Y.KAKAZU & H.YOKOI: "The Behavior of Artificial Worms in a Narrow Path by the Bionic Model" Artificial Neural Networks in Engineering(ASME PRESS). 2. 458-463 (1992)
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[Publications] 嘉数侑昇,鈴木恵二: "人工生命に遺伝的アルゴリズムと進化戦略" システム制御情報学会論文誌. 37. 490-495 (1993)
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[Publications] 横井浩史,嘉数侑昇: "波動場を用いた情報処理に関する基礎研究(多重波動場モデルの構築)" 日本機械学会論文集C編. 59. 1115-1121 (1993)
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[Publications] 坂無英徳、鈴木恵二、嘉数侑昇: "遺伝的アルゴリズムにおける探索戦略の制御" 情報処理学会論文誌. 34. 755-763 (1993)
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[Publications] S.MIKAMI & Y.KAKAZU: "Extended Stochastic Reinforcement Learning for the Aquisition of Cooperative Motion Plan" MAN AND CYBERNETICS(IEEE). 5. 253-278 (1993)
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[Publications] M.KUBO & Y.KAKAZU: "Simulating a Competition for Foods between Ant Colonies as a Coordinated Model of Autonomous Agents" MAN AND CYBERNETICS(IEEE). 5. 142-148 (1993)