1993 Fiscal Year Annual Research Report
破壊エネルギー理論に基づくFRP緊張材の疲労破壊に関する研究
Project/Area Number |
04452221
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
魚本 健人 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (80114396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大賀 宏行 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (40152061)
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Keywords | FRP緊張材 / カーボン繊維 / アラミド繊維 / ガラス繊維 / 耐アルカリ性 / 破壊エネルギー理論 / 動的疲労破壊 / クリープ破壊 |
Research Abstract |
本研究は、高張力鋼の代わりに橋梁等にFRP緊張材を使用する場合を想定し、現在使用されている主要な補強繊維であるカーボン繊維、アラミド繊維、ガラス繊維を使用したFRP材(φ6mm)について、中でも重要な物理特性であるFRP緊張材の強度、変形、疲労特性を明らかにし、さらにはFRP緊張材の耐アルカリ性を明らかにすることを目的として実施したものである。なお、本研究では、破壊エネルギー理論に基づく考え方で振幅応力のみならず載荷応力の影響を考慮した疲労特性を明らかにし、耐アルカリ性についてもどの様に考えれば良いかを明らかにした。 本研究で明らかになった主な点をまとめて列記すると以下の通りである。 1.繊維混入率を増大させるとFRPロッドの強度は、ほぼ繊維混入率に比例して増大する。しかし、CFRPロッドの場合にはチャック部における応力集中が原因となり、繊維混入率が高い場合には繊維混入率に比例しない場合がある。 2.各種繊維を用いたFRPロッドの動的疲労試験を実施した結果、最も疲労強度の小さいロッドはガラス繊維で補強されたGFRPロッドであり、最も強度低下の少ないのはカーボン繊維で補強されたCFRPロッドである。また、GFRPロッドは、400万回疲労後の強度が静的強度の約1/2に低下する。 3.AFRPロッドおよびGFRPロッドでは、クリープ破壊も同時に生じるため、高応力下においては動的疲労破壊とクリープ破壊のいずれもが生じる領域が存在する。 4.各繊維の耐アルカリ性について検討した結果、繊維単身をアルカリ溶液に浸積し、その引張試験を実施する方法で、十分な評価をすることができることが明らかになった。また、ガラス繊維の場合にはアルカリによる劣化が著しいが、カーボン繊維およびアラミド繊維の場合にはほとんど劣化が生じない。 5.アルカリ濃度および温度を変えることにより繊維の劣化促進試験が行えること、拡散理論を用いることで劣化予測ができること、促進試験と実環境での試験結果を対応させることが可能なこと等が明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Uomoto H.Hodhod: "Properties of Fiber Reinforced Plastic Rods for Prestressing tendons,Fiber-Reinforced-Plastic Reinforcement for Concrete Structures" A.C.I.SP-138. 101-115 (1993)
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[Publications] 魚本健人・西村次男: "プレストレストコンクリート用FRP緊張材の特性(8)" 生産研究. 46(1). 23-25 (1994)
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[Publications] 西村次男・魚本健人: "FRPロッドの動的疲労特性" 第48回土木学会年次学術講演会講演概要集. 308-309 (1993)
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[Publications] 宮崎太・魚本健人・西村次男: "アルカリによるガラス繊維の劣化性状" 第48回土木学会年次学術講演会講演概要集. 358-359 (1993)