1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04452266
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
毛利 哲夫 北海道大学, 工学部, 助教授 (20182157)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝沢 聡 北海道大学, 工学部, 助手 (20240632)
|
Keywords | 正方晶歪 / 第一原理計算 / カー・パリネロ法 / Siの弾性定数 / クラスター変分法 / 有効相互作用エネルギー |
Research Abstract |
昨今の合金理論の進展は、合金熱学量を原子番号のみから導く第一原理計算を可能にしてきた。しかし、その対象とするところは、きわめて結晶対称性の高い面心や体心立方晶に限定されており、それ以外の結晶系への拡張がなされていない。本研究で目的としたのは、非立方晶系への第一原理計算の拡張であり、なかでも正方晶歪を取り上げた。正方晶歪は、マルテンサイト変態やL1_0規則相の結晶構造等、合金の相変態において頻出する極めて重要で共通性の高い構造である。本年は、この問題に対する第一段階として、電子論の立場からはSi(シリコン)の正方晶歪の、カー・パリネロ法として知られる第一原理計算を、又、統計熱力学の立場からはクラスヌー変分法のプログラムの正方晶系への拡張という二点を主眼において研究を遂行した。まず前者の電子論の計算では、ノルム保存の擬ポテンシャルを用い、一定体積下で、正方晶のa軸とc軸の長さの関数として全エネルギーの計算を行った。この結果、軸比が1のところでエネルギーが極小になることを確認した。又、弾性エネルギーの計算も行い、平衡格子定数、体積弾性率、ポアソン比、弾性定数等を算出した。格子定数は0.7%、体積弾性率は21%、ポアソン比は32%、弾性定数はC_<11>が15%、C_<12>が26%、それぞれ実験結果と誤差を示した。比較的実験値を高精度で再現することの期待されるSiに対し、あまり高い精度の計算を実行できなかった理由は、計算の基底となる平面波の数が少なかったことに大きな原因があると思われる。この改善は今後の課題である。次にクラスター度分法の正方晶系への拡張に対しては、前述のc軸とa軸の関数として変態温度(L1_0ー不規則)の計算を行った。但し、ここではエネルギーをパラメータとして導入しており、これを電子論計算から得られる有効相互作用エネルギーにおきかえることが課題である。
|
Research Products
(1 results)