1992 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルアロイングによる高靭性モリブデン合金の開発
Project/Area Number |
04452267
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗下 裕明 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50112298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 裕 岡山理科大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70228774)
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Keywords | メカニカルアロイング / モリブデン合金 / 高靭性 / 炭化チタン / 再結晶温度 / 高温強度 |
Research Abstract |
Mo-1.0wt%TiC混合粉末を対象にして,遊星型ボールミルを用いたメカニカル・アロイング(以下,MAと略称する)法により,MA時間,MA雰囲気,ボールと粉末の量比を変えた合計13種類の条件下でMA処理を行った。X線粉末回折法により評価したMA処理粉末の粒径は,MA条件に依存して10〜30nmの範囲にあった。MA処理粉末をまず大気中で一方向プレス成形し,乾水素中約2090Kで常圧焼結を行って後,熱間及び温間で1mm厚まで圧延を行った。しかし,化学分析とEPMAによる組成分析を行った結果,この圧延材では炭素が全く消失し,一方約0.55wt%もの酸素が含まれ,その酸素のほとんどはTiO_2として存在していた。このことは,MA処理により得られた超微細で表面エネルギーの高い粉末を成形時に大気にさらしたことにより酸素が微粉末表面に吸着し,その後の焼結時に酸素の一部が炭素と反応して脱炭作用を生じるとともに,チタンと反応してTiO_2を生じたものと考えられる。したがって、圧延材においてTiCを残すためには,MA処理粉末を大気に全くさらさずに成形と焼結を行う必要があることが判明した。そこで,成形と焼結を同時に行う方法であるHIP法に着目し,粉末秤量から混合,MA処理,そして焼結までの過程を,粉末が大気に触れることなく行えるように創意工夫した。その結果,最終的に得られた圧延材では全炭素が残存しており,また酸素の量も0.1wt%以下であった。また,このHIP材の相対密度はほぼ100%であった。このHIP処理材と上述の常圧焼結材の再結晶温度を測定するために,1073〜2073Kの種々の温度で真空中1時間の熱処理を行ってビッカース微小硬さを調べた。その結果,常圧焼結材の再結晶温度は1473〜1673Kの範囲にあったのに対し,HIP処理材では2073Kでも部分的にしか再結晶しておらず,その再結晶温度は2073K付近と,極めて高いことが判明した。
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