1992 Fiscal Year Annual Research Report
反応拡散層における異相界面の形状安定性とその制御に関する研究
Project/Area Number |
04452276
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 清仁 東北大学, 工学部, 助教授 (20151368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西沢 泰二 東北大学, 工学部, 教授 (60005212)
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Keywords | 反応拡散 / 界面形状 / Fe-C合金 / 異相界面 / α / γ界面 / 部分平衡 / 状態図 |
Research Abstract |
Fe-X系のフェライト相を浸炭して得られるFe-C-X系のフェライト(α)/オーステナイト(γ)界面の形状安定性について、組織観察並びに熱力学的解析を行い次の結果を得た。 (1)Ti,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Co,Cuを添加した合金では、安定な平滑界面が得られたが、P,Al,Sb,Ni,Mn,Si,Geの添加によって界面の著しい不安定化が生じ、γ相は母相のフェライトの粒界や粒内にウィッドマンステッテン状、あるいは島状に遊離した形で成長した。 (2)α/γ界面の形状安定性は、Fe-C-X系のα/γ平衡状態図と密接な関係がある事がわかった。即ち、Fe-C-X系ではCの拡散が異常に速いために、α相とγ相の間に合金元素の分配が生ぜず、α/γ界面近傍のみ合金元素が局所的に分配すると考えられ、このことによってα/γ界面近傍のフェライト相中にCの過飽和領域が生ずると考えられる。 (3)α/γ界面の不安定化の程度は、α相に生じる炭素の過飽和量に依存し、界面を大きく不安定化する元素は、フェライトを安定にすると同時に、炭素と反発しやすい元素である。 (4)フェライトとオーステナイト間の合金元素の部分モル自由エネルギー変化と、フェライト中における合金元素と炭素間の相互作用エネルギーの値により、フェライト中に生じる過飽和量を求めることができる。従来報告されているこれらの熱力学的パラメータより計算した炭素の過飽和量と、α/γ界面の安定性は極めてよい対応を示した。これよりFe-C-X系のα/γ界面の形状安定性を熱力学的に予測することが可能となった。
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