1993 Fiscal Year Annual Research Report
超高張力鋼の溶接熱影響部に形成する脆化M-A組織の電子顕微鏡的研究
Project/Area Number |
04452287
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Research Institution | Osaka Univesity |
Principal Investigator |
松田 福久 大阪大学, 溶接工学研究所, 教授 (90028994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池内 建二 大阪大学, 溶接工学研究所, 助教授 (10030058)
菊地 靖志 大阪大学, 溶接工学研究所, 助教授 (90005405)
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Keywords | 高張力鋼 / 溶接熱影響部 / M-A組織 / 圧力容器用鋼 / 靭性 / 脆化 / 溶接後熱処理 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,大入熱溶接熱影響を受けて脆化した超高張力鋼厚板継手部の後熱処理による靭性改善機構について検討を加えるために,脆化の主要因であるM-A組織の内部構造の透過電子顕微鏡観察を行なった.さらにM-A組織が高炭素濃度であることが分かったため、超高張力鋼に比べて高炭素濃度で,大入熱溶接の要望される鋼材として,圧力容器用鋼についても,同様に大入熱溶接熱影響と後熱処理による靭性と組織の変化を調べ,比較・検討した.その結果,圧力容器用鋼においては超高張力鋼と比べて,低い溶接入熱量でM-A組織の形成による靭性の劣化が認められた.透過電子顕微鏡観察によれば、圧力容器用鋼中に観察されたM-A組織の内部構造は,高炭素マルテンサイトを主体とするものであり,超高張力鋼の場合と同様であった.溶接後熱処理による靭性改善については,超高張力鋼の場合,623Kでの加熱保持に伴って、M-A組織の炭化物とフェライトへの分解が認められ、このために大幅な靭性改善が達成された。しかし600K以下での後熱処理では、M-A組織中に微細な炭化物の析出が認められるものの、M-A組織はほとんどが未分解で、靭性の向上は僅かであった。800K以上では、M-A組織は分解するものの、VやCrの炭化物の析出による2次硬化のために脆化するものが、100キロ級鋼において認められた。圧力容器用鋼においても、M-A組織を炭化物とフェライトに分解することによって、大幅な靭性の改善が得られた。但し、大入熱化が著しくなると共に、圧力容器用鋼の後熱処理による靭性の改善が困難になった。なお脆化要因元素といわれているP及びSの含有量を低くした圧力容器用鋼の大入熱溶接熱影響部についても同様の実験を行なったが、靭性の改善は認められず、大入熱溶接熱影響部の靭性はM-A組織によって主に支配されているものと考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 松田福久 他: "Embrittlement and Toughness Improvement of Weld HAZ for HSLA Steels" Proc.Manufacturing Science and Engineering ASME 1993. PED-Vol.64. 949-955 (1993)
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[Publications] 松田福久 他: "Weld HAZ Toughness and Its Improvement of Low Alloy Steel SQV-2A for Pressure Vessels(Report I)" Transaction of JWRI. 22. 271-280 (1993)
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[Publications] 岡田斎 他: "単層及び多重熱サイクル再現溶接熱影響部の靭性に及ぼす島状マルテンサイトの挙動に関する検討-80キロ及び100キロ級高張力鋼大入熱HAZ部の靭性劣化とその改善に関する研究(第1報)-" 溶接学会論文集. 12. 126-131 (1994)
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[Publications] 岡田斎 他: "島状マルテンサイトの金属学的特性に関する検討-80キロ及び100キロ級高張力鋼大入熱HAZ部の靭性劣化とその改善に関する研究(第2報)-" 溶接学会論文集. 12(掲載予定). (1994)