1992 Fiscal Year Annual Research Report
薬物透過研究モデル細胞としての高度好塩菌における膜輸送担体に関する研究
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04452302
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加茂 直樹 北海道大学, 薬学部, 教授 (10001976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮内 正二 北海道大学, 薬学部, 助手 (30202352)
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Keywords | 高度好塩菌 / グルコース / フルクトース / P-glycoprotein / 抗ガン剤排出タンパク / プロベネシド |
Research Abstract |
(1)高度好塩菌の糖輸送について: 高度好塩菌Haloferax volcaniiのフルクトースとグルコースの輸送を調ベた。フルクトース輸送体は誘導的であった。能動的にフルクトースを取り込んでいるときに、脱共役剤を添加しても取り込み速度に変化がない。このことは、フルクトースの取り込みにプロトンの電気化学ポテンシャルの関与はないことを示す。しかし、脱共役剤存在下で30分の保温の後の細胞を用いるかまたはモネンシンの添加でフルクトースの取り込み活性は著しく低下した。細胞内のNa濃度は低下していた。この事はフルクトースがNaとの共輸送で取り込まれる事を示唆する。細胞内に取り込まれたフルクトースはグルコースに変換され、リン酸化のないEntner-Doudoroff経路で代謝される。 既に昨年度本菌のグリコース輸送がNaとの共輸送であり、細菌では最初の例である事を明らかにした。しかし、いくつかの疑問点が残っていた。本年度はこの疑問点を明らかにすベく研究を行なった結果、駆動力はNaの電気化学ポテンシャル差であるが、輸送のためには、Hの電気化学ポテンシャル差も必要であることが明らかになった。 (2)P-glycoprotein(P-gp)様抗ガン剤排出タンパクについて: Etidium bromideが細胞に取り込まれると蛍光を発することを利用して、P-gp様輸送担体の活性を調ベた。陰イオン輸送の阻害剤であるプロベネシドが輸送を阻害した。また本輸送には細胞外Clが必須であることが示された。好塩菌は高濃度のNaCl中で棲息しており、従来Naの役割が重要視されてきたが、本研究のClの重要性を示した点は興味深い。アミノ酸の大量添加で本輸送体が発現することを見いだし、代謝物の排泄の役目をしている可能性を示唆した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Saitho: "Measurement of plasma membrane potential in isolated rat hepatocytes using the lipophilic cation,tetraphenylphosphonium: correction of probe intracellular binding and mitochondrial accumulation." Biochim.Biophys.Acta. 1111. 221-230 (1992)
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[Publications] S.Miyauchi: "In archaebacteria,there is a doxorubicin efflux pump similar to mammalian P-glycoprotein." Biochim Biophys Acta. 1110. 144-150 (1992)
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[Publications] S.Miyauchi: "Studies on the transport of liphophilic cations through planner bi-layer membrane." J.Pharm.Sci. 82. 27-31 (1993)