1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04452325
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
有冨 正憲 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (60101002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 実 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助手 (90171529)
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Keywords | 沸騰二相流 / 熱的非平衡 / 緩和現象 / 自己蒸発 / 臨界流 / 管内流 / 軽水炉 / 安全性 |
Research Abstract |
本研究は、軽水炉の安全解析上未解明な現象の一つである熱的非平衡二相流の緩和現象を取り上げている。想定される事象は時間的な過渡現象であるが、本研究では、高温高圧水の急加速流れを取り上げ、急激な圧力降下により過熱水を発生させ、過熱水が自己蒸発により飽和状態に遷移する緩和過程を調べる研究を行った。特に、流れの熱的状態に余り影響を与えず、人為的に気泡核を発生させることができる幅10mmのヒータの加熱により、過熱水の自己蒸発による緩和過程に与える気泡核数の影響を調べる研究を行った。巨視的な水温は、試験流路を十分に断熱することにより、壁温計測から求め、流れ方向の圧力分布は差圧変換器により計測した。本研究では、水が過熱開始する位置、即ち、飽和状態になる位置を起点に選び、過熱水温の低下開始点をもって巨視的な緩和開始点と定義している。本年度は以下のことを明らかにした。(1)巨視的な緩和開始点までの圧力勾配は線型であり、巨視的には水単相流と見なせる。巨視的な緩和開始点より下線では、二相流による摩擦損失の増加により、圧力勾配は線型からずれ大きくなる。このことは、本研究の計測方法の妥当性を検証している。(2)人為的に気泡核を形成させない場合には、過熱状態の開始から、過熱水が巨視的に自己蒸発を開始するまでの時間と、水の最大過熱度、最大過熱度に相当する圧力差を実験的に求め、Jonesのモデルを改良したモデルにより実験結果を説明した。(3)人為的な気泡核の過熱水の緩和距離、緩和時間は、人為的な気泡核を発生させるヒータ部でのサブクール度が1K以下の場合には、ヒータ部で発生する気泡核によるボイド率で統一的に整理できる。(4)緩和過程の支配因子として、過熱開始点から緩和開始点までの過熱度を通過時間で積分した値を選択し、緩和開始をこのパラメータと初期ボイド率で説明できる。
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