1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04453017
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
茅 幸二 慶応義塾大学, 理工学部, 教授 (10004425)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中嶋 敦 慶応義塾大学, 理工学部, 助手 (30217715)
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Keywords | 水素結合 / 分子線 / クラスター / 内部回転 |
Research Abstract |
本研究では、水素結合性分子クラスターを、特殊なノズルを試作して、生成させ、質量選択した多光子イオン化分光法(MPI法)によって、その電子状態、分子配列を解明しようとするものである。第一段階は、クラスター生成・電子スペクトル観測用の真空装置作成で、平成4年に設計・据え付けが終了し、さまざまな調整をしつつ実験を行っている。真空装置は2室から成る。第一室はノズルから試料を噴出、ジェットとして極低温のクラスターを得るもので、ノズルを定常動作の霧吹き型を作動し、真空度を10^<-5>Torr程度に保持するために、液体窒素トラップ付きの14インチ油拡散ポンプを用いている。第二室はリフレクトロン型飛行時間型質量分析計で、現在分解能700程度で、フェノール(C_6H_5OH)分子10個程度で水素原子1個の質量差が分離できる段階で、らせん型の大きなクラスターの分析にはより高い分解能が望ましく調整を行っている。 霧吹き型ノズル製作にやや時間がかかっている間に、装置の性能を試験するために、トルエン(メチルベンゼン)のS_1-S_0電子遷移を、高分解能色素レーザー(0.06cm^<-1>)を用いてMPI法によって測定した。0-0バンド付近のメチール基の内部回転によるバンドの回転エンベロープから次のような興味ある結果が得られ、現在さらに進展しつつある。 (1)0-0バンドはベンゼン置換体固有の主軸に垂直の面内の遷移モーメントを持ち、基底・励起状態の分子構造はさして変化しない。 (2)基底状態のメチル基の内部回転準位k=1、2はK=0とは異なった核スピン状態に属するもので、両者は別の分子であり、内部温度もかなり相違がある。 (3)k=1、2からの遷移モーメントの方向はメチール基とベンゼン環を結ぶ方向で、内部回転と電子との相互作用によって生じる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 茅 幸二: "Sodium Doped Binary Clusters1:Ionization Potentials of Si_nNa_m Clusters." Zeitschrift fur Physik D.
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[Publications] 茅 幸二: "Sodium Doped Binary Clusters2:Electron Shell of In_nNa_m and Au_nNa_m Clusters." Zeitschrift fur Physik D.
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[Publications] 茅 幸二: "Electronic Shell Structure of Indium-Sodium Bimetallic Clusters Examined by Their Ionization Potentials." Journal of Physical Chemistry. 97. 86-90 (1993)
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[Publications] 茅 幸二: "Dynamics of Double Proton Transfer Reaction in the Excited State of Hydrogen Bonded Dimers." Photoinduced Electron Transfer and Related Phenomena. 167-173 (1992)
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[Publications] 茅 幸二: "Ionization Potential of Cobalt-Sodium Bimetallic Clusters." Journal of Chemical Physics. 97. 3803-3807 (1992)
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[Publications] 茅 幸二: "Electronic Spectra of p-Dicyanobenzene,p-DCNB-H_2O Complex and p-DCNB Dimer." Journal of Physical Chemistry. 96. 10693-10697 (1992)