1992 Fiscal Year Annual Research Report
キラリティー認識機能を持つ光学活性レセプターのハイブリッドプロセスによる合成
Project/Area Number |
04453024
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
苗村 浩一郎 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (70029437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 良樹 大阪大学, 基礎工学部, 教務員 (40127288)
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Keywords | 酵素的加水分解 / 酵素による光学分割 / 光学活性クラウンエーテル / アミノ酸の光学分割 / 不斉識別機能を持つレセプター |
Research Abstract |
有機化合物合成の多段階プロセスの一部に酵素等の生体触媒を用いる反応を組み入れた、いわゆるハイブリッドプロセスは省資源的かつ、クリーンなプロセスとして、その価値が注目されている。特に、酵素はキラル触媒として光学活性有機化合物の合成において利用価値が高いものである。本年度はこの酵素的加水分解反応を用いてレセプターのキラル構成単位の光学分割を行い、キラリテイー認識機能を持つ18ークラウンー6型光学活性レセプターの合成を完了し、これらがアミノ酸のキラリテイーを認識する機能を持つことを確かめた。さらに、錯体の構造をスペクトルで調べレセプターの錯形成の機構に関する新たな知見を得た。 cis-1-フェニル-1,2-シクロヘキサンジオールのアセタートをエステラーゼを使った加水分解反応で光学分割し、レセプターの構成単位であるジオールのエナンチオマーの両方を鏡像体的に純枠な形で合成した。このジオールを構成単位とする光学活性クラウンエーテル数種を合成し、これらがフェニルグリシンメチルエステル等アミノ酸のキラリティーを識別して錯体を形成することを確認し、これらのレセプターを用いたバルク液膜輸送によりアミノ酸を光学分割した。この結果cis-1-フェニル-1,2-シクロヘキサンジオールはアミノ酸を光学分割する機能を持ったキラルレセプターの構成単位として優れていることがわかった。この成果の論文は英国化学会誌に印刷中である。ひきつづき、同じ構成単位を使ってアゾ色素基を組み入れた光学活性色素化クラウンエーテルを合成した。この色素化レセプターとアミン類との錯体ではゲスト化合物のキラリテイーの違いが錯体の色の違いとして観察できるので、将来、アミノ酸の絶対配置を決定する指示薬となり得る。現在は、このレセプターとアミノ酸の錯体の構造を^1Hnmrを使って解析している。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Koichiro NAEMURA et al.: "Preparation and Enantiomer Recognition Behaviour of Crown Ethers containing cis-1-Phenyl-cyclohexane-1,2-diol and trans-1,2-Diphenylcyclohexane-1,2-diol as a Chiral Subunit" J.Chem.Soc.Perkin Trans.1. (1993)