1993 Fiscal Year Annual Research Report
インテリジェント有機分子の合成とその分子認識機構に関する構造化学的研究
Project/Area Number |
04453026
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
深澤 義正 広島大学, 理学部, 教授 (50004502)
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Keywords | カリックス[4]アレン / クラウンエーテル / イオン輸送 / 疎水性空孔 / 選択的包接 / Cation-π相互作用 / 水素結合 |
Research Abstract |
フェノールの環状4量体であるカリックス[4]アレンやクラウンエーテルは、金属やアンモニウム塩を選択的に取り込むことができるホスト化合物として知られている。我々は、モノデオキシカリックス[4]アレンについての研究を行った。この化合物は三つの水酸基のうち、中央の水酸基のモノアルキル化が容易であること、また得られたモノアルキル体においても安定配座はフェノールがすべて同一方向を向いたcone型であることが分かった。そこでこの化合物にクラウンエーテルを導入した場合は、カリクサレンのフェノール部分と、クラウンエーテルとによる選択的な金属イオンの取り込みが可能と考え合成を行なった結果、この化合物はナトリウムイオンの輸送に対して高い選択性を持っていた。その選択性はモノデオキシカリックス[4]アレンモノメチルエーテル体のみの場合や、アザクラウンのみの場合よりも高いことから、フェノール部とアザクラウンの両部分を利用して輸送していることが明かとなった。この結果は分子力学計算によっても支持された。更に我々は、カリックス[5]アレンの比較的大きな疎水性空孔と適度な自由度を利用して、その疎水性空孔の末端に水素結合性の官能基として二つのカルボキシル基をもつホスト分子を合成し、その分子認識能についても評価を行なった。その結果この化合物は二分子のイミダゾールを選択的に取り込むことが分かった。その取り込みの様式を分子力学計算で検討したところ、一分子のゲストは水素結合とCation-π相互作用によりキャビティー内に取り込まれており、もう一分子のイミダゾールは二つのカルボキシル基によりはさみ込まれていることが明かとなった。
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[Publications] Y.Fukazawa: "Synthesis and Structure of[3.3]Orthocyclophane" Bull.Chem.Soc.Jpn.66. 1239-1243 (1993)
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[Publications] Y.Fukazawa: "Steric Strain in Syn[2.2]metacyclophane" Tetrahedron Letters. 34. 3787-3788 (1993)
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[Publications] Y.Fukazawa: "Benzene Ring Flipping in Syn[2.2]metacyclophanes:Effect of Substituents" Tetrahedron Letters. 34. 3789-3792 (1993)
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[Publications] Y.Fukazawa: "Synthesis and X-Ray Molecular Structure of Monodeoxycalix[5]arene" Tetrahedron Letters. 34. 8127-8130 (1993)
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[Publications] Y.Fukazawa: "Total Synthesis of Both Enantiomers of Sarcophytols A and T Based on Stereospecific[2.3]Wittig Rearrangement" Tetrahedron Letters. 34. 8453-8456 (1993)
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[Publications] Y.Fukazawa: "Synthesis,Structure,and Physical Propaties of 1,11-oBenzo[2]orthocyclo[2](1.2)tropyliophane" Tetrahedron Letters. 34. 8493-8496 (1993)