1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04453033
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
徳山 孝 大阪市立大学, 理学部, 教授 (70046944)
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Keywords | 矢毒蛙アルカロイド / シス-デカヒドロキノリン / 立体配座 / ピロリチジン / オキシム-アルカロイド / 立体配置 / COLOC / NMR-溶媒シフト |
Research Abstract |
1.二次元NMRスペクトルの解析により、コスタリカ産矢毒蛙Dendrobates pumilioの新塩基の立体化学を含めた構造解析を行った。この際ローパスフィルターなどを組み込んだCOLOC-パルスを開発,利用した。この方法では、従来避けられられなかった不要ピークが消滅、また位相感応型にすることにより優れた解像力を出現するなど、高い有用性を認めた。 2.蛙毒シス-デカヒドロキノリン塩基には環結合の配座異性体間の平衡が存在しうる場合が多く、立体構造の決定は容易でない。構造解析に際して参照される文献値は低感度の^<13>C核のものに限られ、化学シフトの経験的な扱いに基づくものが多い。本研究では主として感度の高い^1H-NMRによる構造解析法の開発を目的とした。矢毒蛙塩基の構造確定とともに、別途調製した数種のシス-デカヒドロキノリン誘導体についても検討し、環結合異性体間の平衡に及ぼす各置換基の要素、特に5-,8-equatorial置換基の特性など構造解析に役立つ知見を得た。 3.蛙毒ピロリチジン-オキシム塩基の構造解析に関して残された主な問題はメチルオキシム基の立体配置である。メチルオキシム基周辺に観測されたわずかな差NOE値は、立体配置の根拠とするには充分でなかった。本研究中、芳香族溶媒中に現れるNMR溶媒シフト値にオキシム基の立体配置が現れていることをモデル化合物について見いだした。矢毒蛙塩基の溶媒シフト値が示すオキシム基の立体配置の知見は、差NOE値が示すものと一致した。一般に差NOEの観測には綿密な事前の配慮が必要であり、観測の容易さ、信頼度にも問題のあることが多い。いっぽう溶媒シフト値の測定は容易であり、立体構造全般との間に相関性が確立すれば有用な解析法となる。目下多種多様のモデル化合物について検討を進めている。 1.,2.については“Magnetic Resonauce in Chimistry"誌に投稿準備中( 3.については日本化学会第67回春季年会(平成6年3月31日)にて発表予定
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