1992 Fiscal Year Annual Research Report
二つのサイクラム骨格とキシリル基で連結した二核化配位子錯体
Project/Area Number |
04453041
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 翼 東北大学, 理学部, 教授 (90007328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 正 東北大学, 理学部, 助手 (40230362)
木戸 寛明 東北大学, 理学部, 助手 (40004444)
大塩 寛紀 東北大学, 理学部, 助教授 (60176865)
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Keywords | 対面型双環構造 / 複核錯体 / 二酸化炭素とりこみ |
Research Abstract |
(1)表題の二核化配位子の合成において,前駆体のイミン結合をNaBH_4で還元する際反応溶液のpHを5前後にコントロールすることにより収率が格段に向上し,配位子の大量合成が可能となった。 (2)o-キシリレン基で架橋した二核化配位子(L)を用いて,新しい3種の複核Ni(II)錯体,[Ni_2(L)](ClO_4)_4,[Ni_2Br_3(L)]Br,[Ni_2Cl_2(L)](ClO_4)_2を合成した。後者の二つについて単結晶X線解析を行なったところ,どちらの場合も予想どうり二つのジメチルサイクラム環が対面型に配置したハロゲン架橋複核錯体が生成していることがわかった。サイクラム骨格は立体化学的に最も安定な配座をとっており,キシリル基は二つのメチル基の存在により椅子型の6員キレート環に対しアクシャル配置となり,これが対面型の双環構造をもたらしていることがわかった。塩化物イオン架橋錯体においては,ターミナル配位子の塩化物イオンが隣接する複核ユニット間で共有され直線状の4核錯体が形成されている。3〜300Kの範囲で磁化率の温度変化を測定した。その解析を行なった結果,隣接するNi(II)イオン間に2種類の磁気的交換経路がありJ=-48.2およびJ'=-11.2cm^<-1>の反強磁性相互作用が働いていることがわかった。 (3)LのZn(II)錯体[Zn_2(L)](ClO_4)_4は,弱アルカリ性水溶液において空気中の二酸化炭素を自然にとりこみ[Zn_2(CO_3)(L)](ClO_4)_2の結晶を生成する。この錯体のX線解析を行なったところ二核化有機配位子部分は上記Ni(II)錯体とほとんど同じ対面型双環構造であり,CO_3^<2->は二つのZn(II)間に架橋配位していることがわかった。亜鉛周りは四角錐型5配位,亜鉛間距離は5.807(1)A^^○である。
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