1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04453047
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 義尚 九州大学, 理学部, 教授 (10037757)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡上 吉広 九州大学, 理学部, 助手 (10194333)
磯部 敏幸 九州大学, 理学部, 助教授 (90037242)
|
Keywords | 前周期遷移金属 / ポルフィリン錯体 / 光化学 / CIDEP / 軸方向配位性 |
Research Abstract |
テトラフェニルポルフィリン、テトラメシチルポルフィリンを合成し、クロム(III)、ジルコニウム(IV)、ニオブ(V)、モリブデン(V)に配位させて錯体を得た.これらの錯体に対して軸方向配位挙動を検討した結果、アルコール類、フェノール類が選択的に配位し、チッソ塩基およびアルケン、アルキン等不飽和炭化水素の配位性は極端に弱いことが明かになった. ニオブ(V)、モリブデン(V)のフェノキソおよびアルコキソ錯体では、可視光照射によって配位結合の開裂が進行することが確かめられた.フェノキソ錯体では、開裂によって中心金属が還元され、オキソ配位子を伴う5配位四角錐型錯体と軸方向配位子由来のフェノキシルラジカルを与える.中心金属がニオブの場合には、開裂反応の後、オキソ配位子のトランス位にフェノールが配位した6配位八面体錯体の生成がゆっくりと進行する.ニオブのアルコキソ錯体では、光開裂反応によって生成したアルコキシルラジカルのポルフィリン環への攻撃によって、N置換ポルフィリンが生成する.アルコキソ、フェノキソ配位子の差は、生成ラジカルの不対電子の分布によって説明される.軸方向配位子がカテコールの場合には、分子内電子移動によって光励起状態の速やかな消光が起こる. ジルコニウム(IV)錯体では、軸方向配位結合のホモリシスによって錯体部分に残される不対電子は、主としてポルフィリン環に分布する。本年は、空気中で安定な酸化状態についての検討を行ったが、次年度は光還元によって生成する低酸化状態の錯体について検討を行う予定である.
|