1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04453048
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 尚英 九州大学, 理学部, 助教授 (80145284)
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Keywords | 自己組織化 / 配位供与性 / 配位受容性 |
Research Abstract |
本年度は、金属錯体が自己組織化能を持つための基本的条件を詳細に検討し、「どのような分子設計を施せば自己組織能をもつのか」という問題に対する明快な定式化を行った。イミダゾールを含む四座配位子からなる銅(II)錯体は、配位供与性と配位受容性を兼ね備えた化合物であり、自己組織化する可能性をもっている。この化合物は酸性条件下では単核錯体として存在するが、アルカリ条件下ではイミダゾールプロトンが解離して配位供与性が現れて、自己組織反応が誘起される。理論的に予想されたように、軸位からの配位を受け入れる配位受容性能力と面内配位子場強度は逆の相関があることが、電子スペクトル、ならびにX線結晶構造決定から得られた金属まわりの結合距離の解析から明らかになった。配位子場強度は成分基により制御することができ、サリチルアルデヒドを含むtypeA型錯体とアセチルアセトンからなるtypeB型錯体とに分類することができた。typeAはより面内配位子場が弱く、typeBは面内配位子場が強い。これに対応して、typeAでは面内配位子場が弱いために、軸方向からの配位を受け入れる能力が増大し、安定な自己組織化錯体が得られる。一方、typeBでは、面内配位子場が強いために、自己組織化しにくい。pH滴定を行ったところ、typeAでは、正滴定、逆滴定でヒステリシスが見られるのに対して、typeBでは正滴定、逆滴定がよい一致を示した。脱プロトン化したtypeBは固体状態で緑色、溶液中で赤色を呈し、スペクトルより溶液中では平面四配位、固体状態で四角錐型五配位構造をとっている。
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[Publications] 松本尚英: "Imidazolate-bridged Copper(II)Complexes with Infinite Zigzag-chain and Tetrarmclear Structures formed by Deprotonation and Self-Assembly" J.Chem.Soc.Dalton Trans.,. 2157-2162 (1993)
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[Publications] 松本尚英: "Ferromagnetic Spin-Coupling of Several Homo-and Mixed-Metal Complexes" Mol.Cryst.Lig.Cryst.233. 299-308 (1993)