1992 Fiscal Year Annual Research Report
新しい分光電気化学法を用いた金属タンパク質の動的構造変化と機能の解明
Project/Area Number |
04453082
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
谷口 功 熊本大学, 工学部, 教授 (90112391)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 博子 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (60040424)
木田 建次 熊本大学, 工学部, 助教授 (00195306)
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Keywords | 分光電気化学法 / 金属タンパク質 / 酵素モデル金属錯体 / 円偏光二色性 / 蛍光スペクトル / ラマン分光法 / 合成ポリペプチド / 構造変化 |
Research Abstract |
本研究では、i)新しい円偏光二色性(CD)及び蛍光分光電気化学測定法を確立・発展させる。ii)種々の金属タンパク質についてその酸化体及び還元体の微細構造を解明する。さらに、その上で、iii)赤外・ラマン分光法や紫外・可視分光法などを用いた分光電気化学測定をも組み合わせて電子移動過程に伴うタンパク質の構造変化のダイナミクスをin situに解明することによって、タンパク質の機能を動的構造変化の立場から明らかにすることを目的としている。初年度の研究成果は次の通りである。 1)紫外可視分光電気化学法の応用と測定波長領域の拡大のため、微量サンプル用のセル(<50μl)を作製するとともに、良質の石英板を用いた分光電気化学セルを作製し、分光測定領域を近赤外領域までも拡張した。特に、生体系の非ヘム酵素モデル分子としてRuやRhイオンを有する多核金属錯体についても測定を行い、従来知見が極めて少なかった混合原子価状態の良好なスペクトルおよびそのダイナミクスの測定を可能とした。 2)CD及び蛍光分光電気化学法の高性能化とその応用のためにミオグロビンやフェレドキシン及びリボフラビンなどを用いて電子移動反応に伴う構造変化に及ぼすpH、温度などの溶液条件の影響を明らかにした。また、CDスペクトルをmsレベルで時間分解測定を可能とする分光器のセットアップをほぼ完成させた。 3)電子移動過程での金属タンパク質の構造変化のダイナミクス計測を可能とするラマン分光器についても各種分光シグナル強度の経時変化をin situにミリ秒の時間分解能でモニターできるセットアップを行った。 4)これらの装置を用いて、シアノミオグロビンの電子移動に伴うCN^-の解離のダイナミクス、フェレドキシンの電子移動に伴う酸化体・還元体のスペクトル変化および、ポリ-L-リジンやポリ-L-オルニチンなどの合成ポリペプチドの構造変化などを明らかにした。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] KING,Bertha C.: "Electrochemistry of Myoglobin" Rev.of Polarography(Kyoto). 38. 7-10 (1992)
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[Publications] TANIGUCHI,Isao: "Heterogeneous Electron Transfer Reactions of Proteins" Rev.of Polarography(Kyoto). 38. 17-18 (1992)
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[Publications] TOMINAGA,Masato: "Application of Promoter Modified Electrodes to Bio-electrochemical Measurements on the Effects of Origin and Modification of lysine residues of Cytochrome c" Anal.Sci.8. 829-836 (1992)
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[Publications] TANIGUCHI,Isao: "Direct Electron Transfer of Ferredoxin at an Indium Oxide Electrode in the Presence of Poly-L-lysine" Denki Kagaku. 61. (1993)
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[Publications] 谷口 功: "化学工業(特集号:高機能化する電極とその応用)「分子修飾による電極の機能制御」" 化学工業社, 80 (1992)