1993 Fiscal Year Annual Research Report
特異的求核種・有機亜鉛化合物の構造の解明と合成的応用
Project/Area Number |
04453089
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
田丸 良直 長崎大学, 工学部, 教授 (80026319)
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Keywords | 有機亜鉛 / カルボニル化 / 三成分連結反応 / pi-アリルパラジウム / 極性変換 |
Research Abstract |
有機亜鉛化合物の特異的な求核種としての性質を利用して以下に要約する2種類の極めて特異的で有用な反応を開発した。 (1)O価パラジウムを触媒として用いる有機亜鉛、一酸化炭素、安息香酸アリルの三成分連結反応による非対称ケトンの選択的合成:ケトンは有機合成において中心的な役割を果たす重要な化合物である。一酸化炭素をケトンのカルボニル成分として利用することは経済的に望ましい。従って、今までに一酸化炭素を利用する多くの非対称ケトン合成法が報告されている。しかし、それらの殆どが多段階を経る反応であり、一段階合成は皆無に近い。最近、大阪大学工学部の園田教授のグループにより、ラジカル経由の合成法が報告されたが、収率はいいものの、アリル基の構造変化に対して適用範囲が限定されているようである。われわれの開発した方法は、イオン機構経由の一段階非対称ケトン合成法としては、初めての例である。本反応の適用範囲を明らかにするため反応条件や有機亜鉛とアリル化試剤の構造に関する広範な検討を行なった。収率向上には溶媒の選択が極めて重要でHMPAの当量に大きく依存する。反応は立体的選択でアリル化試剤の立体構造は反転する。また脱離基としてリン酸エステルの有効性が明らかになった。 (2)上記反応の機構的考察の帰結として、反応条件しだいで、pi-アリルパラジウム中間体の極性変換が起こり、新電子的な反応性から求核的な反応性へと変換を受けることを明らかにした。この極性変換反応は機構的に全く新しい形式によるものであり、興味がもたれる。この反応は合成化学的にも極めて有用で、各種、カルボニル化合物のアリル化生成物を高収率で与える。この反応の反応機構の詳細、立体選択性、官能基選択性に関して鋭意検討中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Y.Tamaru: "Pronouced Electonic Effects of Allylic Amino Group on the pi-Facial Stereoseletivity and Reactivity in Electrophilic Addition Reaction to Double Bonds" J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,. 21. 1601-1602 (1993)
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[Publications] M.Kimura: "Pd^<2+>-catalyzed Oxidative Aminocarbonylation of 0-2,3-Butadienyl and 0-3,4-Pentadienyl N-Tosylcarbamates" Tetrahedron Lett.,34. 47. 7611-7614 (1993)
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[Publications] K.Yasui: "Use of pi-Allylpalladium as a Nucleophile via an Alkyl-Allyl Exchange Reaction with Alkylzinc" Tetrahedron Lett.,34. 47. 7619-7622 (1993)
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[Publications] T.Bando: "Regio-and Stereoselective Synthesis of 1,3-Hydroxy Amines via Palladiun-catalyzed Carbonate-Carbamate Transformation with Unique Stereoselectivity" J.Org.Chem.in press. (1994)