1992 Fiscal Year Annual Research Report
有機モリブデン錯体を用いる選択的有機合成反応の開発
Project/Area Number |
04453097
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
伊藤 卓 横浜国立大学, 工学部, 教授 (50016721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湊 盟 横浜国立大学, 工学部, 助手 (40239306)
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Keywords | 有機モリブデン錯体 / ヒドリド錯体 / 三級ホスフィン / シクロペンタンジエニル配位子 / カルボニル化合物 / 還元 / アリル錯体 / オキサメタラサイクル |
Research Abstract |
モリブデンの各種の有機金属錯体を、合成試薬として、あるいはまた錯体触媒として用いる方法を開発することを目的とした本研究において、本年度は以下の成果を挙げることができた。 1.有機モリブデン錯体としてシクロペンタジエニル(Cp)配位子をおよびその誘導体をもったCp_2MoH_2の系統の錯体の合成と反応。 (1)Cp_2MoH_2と、アリルアルコール類との反応により、カチオン性のη^3ーアリル錯体と環状のγーヒドロキシアルキル錯体が生成することが見いだされ、さらに後者の塩基との反応でオキサモリブデナシクロペンタン誘導体を生ずることが明らかになった。おなじ錯体による有機カルボニル化合物の環元反応について、その対掌体選択性が検討され、現在のところ、アセトフェノンの還元において37%eeの不斉誘導が観測されている。また、イミンの選択的な還元についての検討も加えている。 (2)モノメチル置換のCp配位子を有する新規錯体(MeCp)_2MoH_2を合成単離し、これと上記の反応を行い、Cp配位子上のメチル置換基がこれらの反応性に及ぼす影響について検討した。 (3)2個の水酸基で架橋した2核錯体、〔Cp_2Mo(μーOH)_2MoCp_2〕^<2+>を合成単離し、これと三級ホスフィンや水酸化ナトリウムなどの塩基との反応を行い、種々の新規錯体を得た。三級ホスフインを配位子としてもつヒドリド錯体MoH_4(Ph_2PCH_2CH_2PPh_2)_2の関与する反応。 (1)この錯体と有機アミド化合物との反応で生成する新規アミド配位錯体を合成し、そのアミド配位子のlabilityを利用して、メタノールをはじめ種々のアルコールとの反応によるアルデヒドの生成について検討した。 (2)この錯体とアリルマロン酸エステルとの間でビニル位のC-C結合の開裂をともなう反応がおき、新規のアルキル錯体が生成することが見いだされた。
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[Publications] Takashi Ito: "Synthesis and Reactions of cationic Cyclic γ-Hydroxypropylmolybdenum(IV) Derivatives: New Pathway for Molybdenaoxacyclopentanes" Organometallics. 12. (1993)
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[Publications] 伊藤 卓: "6族金属ポリハイドライドの有機金属化学" Organometallic News. 158-161 (1992)
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[Publications] 伊藤 卓 (編集幹事、共著): "季刊化学総説「前周期遷移金属の有機化学」" 学会出版センター, 208 (1993)