1994 Fiscal Year Annual Research Report
親水性・疎水性を可逆的に変化させる表面を用いた細胞培養
Project/Area Number |
04453108
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Research Institution | Tokyo Women's Medical College |
Principal Investigator |
岡野 光夫 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (00130237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 明彦 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40266820)
鈴木 憲 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90216375)
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Keywords | ポリイソプロピルアクリルアミド / 温度応答性表面 / 細胞脱着制御 / 細胞はく離機構 / 高分子グラフト表面 / インテリジェントマテリアル |
Research Abstract |
ポリイソプロピルアクリルアミド(PIPAAm)グラフト化表面は温度によって親水性と疎水性を大きく変化させ、これにより細胞を接着させたり脱着させることができることを内皮細胞と肝細胞で明らかにした。細胞の温度低下による脱着メカニズムは、グラフト化されたPIPAAmが水和し、細胞と材料間の相互作用を大きく低下させることよる。この場合、粘着した細胞は材料との相互作用が小さくなるに従ってその扁平になった形態を丸い形に変形させて脱着することが観察された。この形態変化はATP代謝を伴うため、アジ化ソーダなどの代謝阻害剤によって影響されることがわかった。このため温度を4℃に低下させるとグラフト鎖の水和は促進されるが、細胞の代謝が低下するため脱着速度は10℃に比べ小さくなることが確認された。さらに内皮細胞と肝細胞では脱着する最適温度が異なることが確認され、細胞を接着させた後に温度低下の大きさを変化させることによって脱着をコントロールできることが明らかとなり、新しい細胞分離法としての可能性も示唆された。 さらに、内皮細胞と肝細胞を培養しコンフルエントにした後に、細胞-細胞間の結合を損なうことなく細胞シートを温度低下によって回収する手法が確立された。このことは細胞集合体の2次元マニュピレーションを実現する新手法となることが期待できる。
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[Publications] Y.G.Takei: "Dynamic contact angle measurement of temperature-responsive surface properties for poly(N-isopropylacrylamide) grafted surfaces" Macromolecules. 27. 6163-6166 (1994)
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[Publications] T.Okano: "Mechanism of cell detachment from temperature-modulated,hydrophilic-hydrophobic polymer surfaces" Biomaterials. (in press).
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[Publications] 岡野光夫: "分子モジュレーションとその新しい生医学的展開" BME. 8. 22-28 (1994)