1992 Fiscal Year Annual Research Report
酸素を過飽和溶解した高分子での分子ダイナミックスと界面物性
Project/Area Number |
04453109
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西出 宏之 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90120930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土田 英俊 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90063461)
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Keywords | 高分子膜 / 気体透過 / 酸素分離膜 / 表面拡散 / 識別吸着 / 高分子錯体 |
Research Abstract |
固ー気界面におけるポルフィリン錯体高分子(固相)への酸素の識別吸着をまず把握するとともに、酸素の透過・輸送実験から固相高分子内および界面での分子拡散挙動を議論した。 (1)ポルフィリン錯体(固相)における固ー気界面での酸素の識別吸着量(3〜7cc(STP)/g(25℃,空気より))と高分子ポルフィリン錯体(固相膜)における酸素の識別吸着量(0.7〜3cc(STP)/g(高分子)(25℃,空気))をBET表面積測定装置を用いて測定・確認した。固ー気界面でのポルフィリン錯体(固相)への酸素分子の吸着および高分子固相膜内部における酸素分子の吸収は、いずれもLangmuir型とHenry型の収着の和で示された。 (2)緻密膜での錯体部を経由した酸素の透過挙動を、供給圧力と酸素透過係数の相関として解析した。高分子中での錯体濃度にともない予想に反して酸素透過係数は減少した(透過係数1.6×10^<-9>(錯体濃度1.3wt%),7.3×10^<-10>(20wt%))。酸素の輸送プロセスの解析から、錯体と高分子マトリックス間における酸素の拡散定数の減少が認められ、高分子部のガラス転移温度の上昇で説明できた。気体分子の溶解と拡散に及ぼす高分子部の自由体積の影響が、錯体〜酸素の固相反応と相乗して発現してくる様子を議論できた。 (3)錯体で細孔内を被覆した多孔膜で、表面に吸着した酸素分子の二次元的な拡散(表面拡散)をはじめて実測した。飛躍的に高い輸送効率(透過係数>10^<-6>,(酸素/窒素)比2)の(酸素/窒素)分離膜を実現した。細孔内での酸素分子の拡散は、Knudsen拡散と表面拡散との和で解析できた。BET型表面積測定装置より錯体を被覆した多孔膜の表面積(151m^2/g)、空隙率(21%)、平均細孔径(35A)、曲路率(6.8)を測定し、透過モデルに基づくシミュレーションより表面拡散定数10^<-6>cm^2/sを得た。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Nishide,T.Suzuki,H.Kawakami,K.Tsuda,S.Nishihara,E.Tsuchida: "Oxygen Dissolution and Transport in Cobaltporphyrin-Bound Organophosphazene Membrane" Polym.Adv.Tech.4. (1993)