1992 Fiscal Year Annual Research Report
相溶化剤によるアロイ化とゾル-ゲル法とを組み合わせたゴム強化に関する研究
Project/Area Number |
04453110
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
高柳 素夫 九州産業大学, 工学部, 教授 (40037643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古賀 啓子 九州産業大学, 工学部, 助手 (90234723)
植田 茂行 九州産業大学, 工学部, 講師 (90069576)
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Keywords | ブタジエンゴム / アロイ化 / 相溶化剤 / ゾル-ゲル法 / テトラエチルオルソシリケート / TEM / 加硫 / シリカ |
Research Abstract |
研究実績の概要は、(1)ゴムのアロイ化と、(2)アロイ化ゴムのマトリックス中でのゾル-ゲル反応による析出シリカの効果の二段階に分けて述ベる。 (1)ゴムは高cis-ブタジエンゴム(BR)を用い、水分導入剤として親水基をもつエチレン-ビニルアルコール共重合体であるEVALを用いた。両者はロール混練では不均一であり試料作製が出来ないので、イソプレン1万単位に6個のオキサジニウム基を共重合した相溶化剤PIR-AMを用いた。BR/EVAL/PIR-AM(100/15/10)のロール混練物のヨウ素染着試料のTEM写真では、EVAL粒子が数μm以下の微粒子として分散していることを確認した。この加硫物の強度2.0MPa、伸度215%は、BRのみの1.0MPaと90%を大幅に上回った。EVAL粒子内部の水素結合の存在がアロイ化による強靭化の主な理由であり、この段階で既に重要な成果を収めた。 (2)アロイ化したゴム組織中のEVALの構成単位には、ビニルアルコールがあり、この構造はエタノール分子に近似しており、ゾル-ゲル法における反応成分であるテトラエチルオルソシリケート(TEOS)と水との相溶化剤としての選択は的確であった。ロール混練の際、EVAL粒子を介して、TEOSと水とがアロイ組織に導入され、反応を起こす。反応のプロセスは複雑であるが、結果的にはシラノールの脱水縮合によりシリカが生成する。ヨウ素染着試料の切片のTEM写真では、白いEVAL粒子とゴムの界面に黒くシリカ粒子が析出した。シリカであることはEPMAでも確認した。10wt%のシリカ含量で加硫物の強度2.7MPa、伸度290%とさらに強伸度が向上した。EVAL粒子をさらに微細に均一に分散するためには、元来、PIR-AMと非相溶であるBRの代わりに、高cis-PIRを用いる計画である。
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Research Products
(2 results)