1993 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄石炭灰のゼオライト化処理と農用資材としての再生利用
Project/Area Number |
04453128
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Research Institution | Ehime Univerity |
Principal Investigator |
逸見 彰男 愛媛大学, 農学部, 助教授 (40093942)
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Keywords | 石炭灰 / ゼオライト / 土壌改良剤 / 吸着 / 農薬 / 重金属 / 微量要素 / 脱臭 |
Research Abstract |
ゼオライト化処理した石炭灰を1)植物養分保持の強化、土壌改良、2)過剰農薬の吸着除去、3)重金属障害の軽減、4)家畜ふん脱臭などとして農用資材に有効利用できることが明らかとなった。 高いCECに着目して、砂質土壌の改良に利用し、芝生育に及ぼす効果を検討した。生育調査結果より、人工ゼオライトの添加処理は、芝の草丈および生産量を増大させることがわかった。芝の生育が良好になるのは、人工ゼオライトを添加することで土壌のCECが増大し、その結果、肥料の流亡が抑制されることが理由の一つであると考えられる。農地からの肥料の流出が抑制できれば、肥料経費を節減できるだけでなく、栄養塩(肥料)の流入による湖沼、海洋など水圏の富栄養化も軽減できる。活性汚泥やバークなどを有機質原料にして、有機無機複合土壌改良剤を調製し、この改良剤により土のイオン保持能や吸着能など理化学的特性を改善することで品質の高い作物を高生産できる生育環境を作り出すことを試みた。花崗岩が風化して生じたマサ土の水田休耕地に、バレイショを栽培して試験した。試験結果より、バレイショの生育は、活性汚泥など有機物だけの施用でも多少は改良できるが、ゼオライト化石炭灰を加えて調製した資材よって、さらに大きく改善できることが明らかとなった。近年、ゴルフ場や農地で使用した農薬による水質、土壌など環境汚染が社会問題となっている。使用頻度の高い農薬であるダイアジノンとEPNについて吸着を試みたところ、ゼオライト化石炭灰、これらの農薬を吸着除去することがわかった。吸着は、炭素含量、交換性陽イオン種、および溶液のpHによって異なった。実際に適用するには、なるべく炭素に富むものをCa型にして用いると効果が大きい。施設栽培は、ガラスやビニールで覆っており降雨に洗われる機会が少ないため、施用した肥料に起因する各種塩類が集積しやすい。微量要素が集積している場合も多く、重金属類の過剰障害が生じている。微量要素過剰は、作物の生産性の低下、品質の劣悪化を招くだけでなく、重金属類を高濃度に含む作物を食品として長期にわたって摂取することは、健康上も問題があると考えられる。ゼオライト化石炭灰は重金属イオン類を強く吸着し余分な微量要素を不可給態化し、過剰症を軽減および回復させる資材として利用できることがわかった。養豚、養鶏などの営まれている地域は、家畜の排泄物や畜舎の洗浄水などに由来する悪臭・異臭が充満しやすい。この臭気は、畜舎での労働環境を悪化するばかりでなく、付近の住民にも不快感を与える。悪臭に対する苦情は騒音についで多く、全国的には畜産農業によるものが最も多いと言まわており、悪臭防止対策が強く要求されている。畜舎労働に対して快適な仕事場を与え、能率的な作業を行なうためにも、臭気の除去は大切である。脱臭を試みたところ、重量で30〜50%で臭気をほぼ完全に除去できることがわかった。
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Research Products
(1 results)