1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04453139
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
土井 悦四郎 京都大学, 食糧科学研究所, 教授 (40027181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷 史人 京都大学, 食糧科学研究所, 助手 (70212040)
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Keywords | 食品ゲル / 透明タンパクゲル / 卵白アルブミン / ホフマイスター系列 / 加熱ゲル |
Research Abstract |
これまでわれわれは、球状タンパク質(卵白アルブミン.血清アルブミン.リゾナーム)の溶液を、PHとイオン強度を変えて加熱することにより、凝集した沈澱を含む懸濁液、透明ゾル、白濁ゲル、透明ゲルを作成することに成功した。特に一段階目の加熱は等電点より離れたPH、低イオン強度で行い、冷却後塩を加えて加熱する二段階法を用いることにより、広範囲の塩濃度において実用的な強度を有する透明ゲルの製造に成功した。また従来は塩類として食塩のみを用いて来たが、今回は卵白アルブミンを材料として硫酸、リン酸、酢酸、塩素、ヨウ素のナトリウム塩の濃度を変え、アニオン種の相違のグル形成に対する効果を調べた。アニオン種の影響は、特に二段階加熱法において著しく、上記の順に、より低濃度で強度の高いゲルが形成された。電子顕微鏡観察においても上記の順により長い線状含合体の形成が認められた。硫酸、リン酸、酢酸、塩素、ヨウ素、アニオンの順番は、これまでタンパク質の溶解度を減少させることが知られているホフマイスター系列に一致している。このことはゲル形成の基本的な凝集力が疎水性相互用である事を強く示唆するものである。 卵白アルブミンの加熱による、変性、凝集、ゲル化は不可逆的な反応とされて来たが、PH、イオン強度、温度の三つの要因を調節することにより逆反応(ゲル-ゾル転換)を行うことに成功した。そして最初の反応は、タンパク質の変性、それに伴うダイマーの形成であることを証明し、タンパク質ゲル形成機構として新しくダイマーモデルを提出した。これらの結果は透明な食品ゲル製造のための基礎的な知見を与えるものである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] E.Doi: "Gels and gelling of globular proteins." Food Sci.Technol. 4. 1-5 (1993)
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[Publications] M.Murata,F.Tani,T.Higasa,N.Kitabatake and E.Doi: "HeatーInduced transparent gel formation of bovine serum albumin." Biosci.Biotech.Biochem. 57. 43-46 (1993)
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[Publications] E.Doi,F.Tani,M.Murata T.Koseki and N.Kitabatake: "Food Hydrocolloids:Structure,Fanction and Application" Plenum Publishing Corporation, (1993)