1992 Fiscal Year Annual Research Report
水産加工食品のコレステロール酸化物に関する研究-調理、加工、貯蔵がコレステロール酸化に及ぼす影響-
Project/Area Number |
04453144
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
小泉 千秋 東京水産大学, 水産学部, 教授 (80017045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 敏明 東京水産大学, 水産学部, 講師 (70134856)
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Keywords | コレステロール / 魚油 / 水産加工食品 / 酸化 / 高度不飽和脂肪酸 / 共役酸化 / トリグリセリド / トリオレイン |
Research Abstract |
水産加工食品中のコレステロール酸化物をガスクロマトグラフィー及びマススペクトロメトリーを用いて定性・定量した。可食部の総コレステロール含量は桜エビの8.3ppmからカタクチイワシ煮干しの188ppmと製品の種類により大きく変動した。7β-Hydroxycholesterol及び7-ketocholesterolの含量が最も高く、α及びβ-epoxides、cholestane triolならびに25-hydroxycholesterolの含量は比較的低かった。次に、魚介類の加工、貯蔵中のコレステロールの酸化機構を解明する目的で、コレステロールと魚油トリグリセリド、コレステロールとトリオレイン、コレステロールのみの3種の組成の異なるモデル系を調製し、25℃、乾燥空気中でのコレステロールとトリグリセリドの酸化を調べた。コレステロールとトリオレインから成る試験区では、酸素吸収量がほとんど変化しなかったことから、脂質の酸化は極めて緩慢であった。さらに、構成脂肪酸であるオレイン酸の残存量の減少とコレステロール酸化物の生成はみられなかった。これに対して、コレステロールと魚油トリグリセリドから成る試験区では酸素吸収が貯蔵38日目以降に急増したことから、酸化が著しく進行したことが示唆された。さらに、魚油トリグリセリドの22:6、20:5、20:4は38日目までに消失し、オレイン酸の残存量も減少した。これと時期を同じくして、コレステロール酸化物の生成をみた。コレステロール酸化物の種類は、上述の水産加工食品中に蓄積していたそれらと同種類であった。以上の結果は、魚油トリクリセリドの共存するコレステロールは魚油トリグリセリド中の高度不飽和脂肪酸の酸化に伴って共役的に酸化が進行することが判明した。さらに、コレステロールの酸化は共存するトリグリセリドの不飽和度が高い程速やかに進行した。以上より、水産加工食品におけるコレステロールの酸化は共存する高度不飽和脂肪酸の酸化により共役的に進行するものと結論した。
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