1993 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質立体構造ダイナミックス情報をX線結晶解析及びNMRの実験から引き出す
Project/Area Number |
04453166
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
郷 信広 京都大学, 理学部, 教授 (50011549)
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Keywords | 蛋白質 / 立体構造 / ダイナミックス / X線結晶解析 / 核磁気共鳴法 / 散漫散乱 / 変異蛋白質 |
Research Abstract |
蛋白質の機能発現の仕組みを理解するためには、立体構造のダイナミックスに関する知見が必須である。本研究は、X線結晶解析およびNMRの実験データからこれに関する情報を引き出す解析法を開発し、さらにそれを実際の系に適用してダイナミックスに関する情報を得ることを目的としている。第一に、蛋白工学研究所の木寺博士と協力して開発した規準振動概念に基づく新しい蛋白質X線結晶解析を、実際の蛋白質ヒト・リゾチームとその部位特異的変異体に適用し、蛋白質分子中の各原子の非等方的な温度因子や分子の恊奏的運動に関する情報を実験的に引き出し得ることを実証した。さらに、変異に伴う構造と揺らぎの変化に関する情報を得ることによって、構造変化と揺らぎの変化の相関や酵素作用発現の仕組みに関する重要な知見を得た。第二に、X線結晶解析において測定される散漫散乱のデータから構造揺らぎ、特に分子の恊奏的揺らぎに関する新しい情報を得る方法を開発した。第三に、規準振動概念に基づく立体構造ダイナミックス解析法をNMRデータの解析にも適用できるように拡張するために、まず、分子内の二面角の一次の微分小変化に対する分子中の原子のデカルト座標の変化を二次の微分小まで求める表式を導き、これを用いてLipari-Szaboのオーダーパラメターを規準振動から求める方法を開発した。これを用いることにより、NMRデータから蛋白質の平均構造と共に構造揺らぎに関する情報を引き出す実用的な方法を開発するのが次の残された課題である。
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[Publications] A.Kidera: "Normal Mode Refinement:Crystallographic Refinement of Protein Dynamic Structure Applied to Human Lysozyme" Biopolymers. 32. 315-319 (1992)
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[Publications] A.Kidera: "Normal Mode Refinement:Crystallographic Refinement of Protein Dynamic Structure I.Theory and Test by Simulated Diffraction Data" J.Mol.Biol.225. 457-475 (1992)
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[Publications] A.Kidera: "Normal Mode Refinement:Crystallographic Refinement of Protein Dynamic Structure II.Application to Human Lysozyme" J.Mol.Biol.225. 477-486 (1992)
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[Publications] K.Mizuguchi: "Collective motions in proteins investigated by X-ray diffuse scattering" Proteins:Structure,Function,and Genetics. 18. 34-48 (1994)
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[Publications] A.Kidera: "Response of Dyramic Structure to Removal of a Disulfide Bord:Normal Mode Refinement of C77A/C95A Mutant of Human Lysozyme" Protein Science. 3. 92-102 (1994)