1992 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04453167
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
豊島 喜則 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60013166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎名 隆 京都大学大学院人間, 環境学研究科, 助手 (10206039)
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Keywords | 光合成 / 電子伝達 / 光化学系II / Q_A / L蛋白質 / psbC / psbD / 転写制御 |
Research Abstract |
高等植物の光合成電子伝達系の環境変化に応答する制御機構を光化学系II(PSII)複合体に焦点を合わせ解明することを目的として、本年度は下記の2項目について研究を進めた。 1.キノン電子伝達部位(Q_A、Q_B)での電子移動制御 PSII複合体は20種以上のタンパク質から構成されているが、全ての電子伝達体はD_1/D_2ヘテロ2量体に結合している。しかし、安定な光電荷分離が起こるためにはこの最小単位の外にCytb559と他の2種のサブユニット、Iタンパク質とLタンパク質の存在が必須であることを再構成法により明らかにした(文献2)。Lタンパク質をコードするpsbL遺伝子は多くの植物でCytb559のαおよびβサブユニットをコードするpsbE、psbFとオペロンを形成しており共転写されることから、共同して一つの機能を担っていると推定される。またLタンパク質の一次構造から、C末端側を膜に埋め込み、N末端側でQ_A部位をストロマ側から保護していると推定される。Q_A部位での電子移動制御に対するCytb559とLタンパク質の役割について現在解析を進めている。 2.psbD/Cオペロンの光による転写制御機構 PSII複合体の生成と消滅による電子伝達能の環境応答機構を明らかにする目的で、D_2およびCP43をコードするpsbD、psbC遺伝子の光による転写制御機構を調べた。psbD/Cオペロンには構成的転写開始点のプロモーター(D/C-2、-4)と光誘導プロモーター(D/C-3)が共存している。まず光照射前後のコムギのプラスチドから、in vivoで見られる光誘導転写をin vitroで再現できるプラスチド抽出液の調整法を確立した。構成的転写開始点のプロモーターによる転写は光照射前後のどちらのプラススチドからの抽出液でも同程度の活性であったが、光誘導プロモーター(D/C-3)の転写活性は光照射後のプラスチド抽出液で著しく促進されていた。この成果は現在Plant Physiologyに投稿中である。また、このin vitro転写系を用いてプロモーター欠失実験を行い、原核生物タイプである構成的転写開始点のプロモーターとは異なり、光誘導プロモーターは転写開始点の150bp以上上流にある特異的なシス因子によって制御されていることを明らかにした。さらに、葉緑体抽出液をへパリン-sepharoseカラムで分画し、RNAポリメラーゼ活性を有する画分と光誘導転写制御因子を含む画分を分離することが出来、両者を再構成することにより光誘導プロモーターからの転写が再現された。現在この因子の精製をさらに進めている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H.Kawaguchi: "Dynamical behavior of psb gene transcripts in greening wheat seedlings.I.Time course of accumulation of the psbA through psbN gene transcripts during light-induced greening." Plant Molecular Biology. 20. 695-704 (1992)
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[Publications] C.Araga: "Functional reconstitution of the primary quinone acceptor,Q_A,in the photosystem II core complexes." Biochim.Biophys.Acta. (1993)
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[Publications] Y.Toyoshima: "Characterization of primary quinone environment in PSII by means of reconstitution and FTIR spectroscopy." Proceedings of IX international congress on photosynthesis in Photosynthesis Research. (1993)
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[Publications] K.Akabori: "Studies of the non-heme iron in PSII complexes by means of metal substitution." Proceedings of IX international congress on photosynthesis in Photosynthesis Research. (1993)
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[Publications] T.Shiina: "Searching of regulatory components of the lightinduced transcription in wheat psbD/C gene cluster." Proceedings of IX international congress on photosynthesis in Photosynthesis Research. (1993)
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[Publications] H.Kawaguchi: "Light regulated transcription of psbK/I/D/C gene cluster in the developing wheat plastids.In S.Kuraishi,V.Kefeli,eds,Greening" Tokyo University Press,Tokyo, (1993)