1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
04453167
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
豊島 喜則 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60013166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
椎名 隆 京都大学大学院, 人間. 環境学研究科, 助手 (10206039)
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Keywords | 光化学系II / QA / Lタンパク質 / 光阻害 / 葉緑体 / 光応答性プロモーター / psbD / C遺伝子クラスター / DNA結合タンパク質 |
Research Abstract |
本研究では、葉緑体の光化学系II(PSII)複合体を対象に、時間領域を異にする複数の電子伝達制御の分子機構の解析を行った。 1.最も早い応答である2つのキノン電子伝達部位での調節については、大腸菌内で大量発現させて得た精製L蛋白質をPSIIコアに再構成することにより、L蛋白質がPheoからQAへの電子移動調節に関与する必須成分であることを証明した。また、部位特異的にアミノ酸置換を行った数種の変異L蛋白質を作成し、これらを用いた再構成実験から、機能に直接関係しているアミノ酸残基の同定を進めている。さらに、再構成法を利用して、光阻害条件下でのQA部位における電子伝達阻害から複合体崩壊に継る分子機構の解析を行い、QA部位からのプラストキノン-9の遊離以外にも何らかの不可逆的な過程が存在することを明らかにした。 2.複合体の生成と消滅による調節については、葉緑体psbD/C遺伝子クラスターに存在する光応答プロモーター(D/C-3プロモーター)を対象に、核ゲノムによる転写活性制御機構を分子レベルで解明することを目的として研究を進めた。in vitro転写実験から、D/C-3プロモーターは可逆的に光で活性化され、暗所で不活性化される特異なプロモーターであることがわかり、その光応答活性化が、D/C-3プロモーターからの転写産物がコードするD2、CP43蛋白質の光依存的なターンオーバーの制御と関係している可能性を示唆した。また、このプロモーターの光応答活性化に関わる核コードの因子を部分的に精製する事に成功した。さらに、D/C-3プロモーターの活性化には転写開始点の70bp以上上流の配列が必要であることを示し、部分精製した核コードの因子がこの領域にシーケンス特異的に結合することで転写が活性化されることを明らかにした。
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