1993 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝的組換えによるプラスミド複製領域の多様化に関する研究
Project/Area Number |
04454001
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
溝渕 潔 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (00092346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 博子 東京大学, 理学部, 助手
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Keywords | 複製領域の構造 / P307プラスミド / ColIb-P9プラスミド / R100プラスミド / キメラレプリコン / 遺伝的組換え |
Research Abstract |
プラスミドは不和合性能(Inc)により分類される。不和合性能の異なる3種の低コピー数プラスミド、ColIb-P9、R100、P307の複製領域の塩基配列を比較すると、ColIb-P9とR100は40%以下の類似性を示すが、P307の複製装置構成領域(repA-ori)と複製制御領域(repA2-inc-repA6)はそれぞれColIb-P9とR100とに90%類似しており、P307がこれら二つのプラスミドの遺伝的組換えによるキメラレプリコンであることを示している。そこで、如何なる構造的、機能的条件が組換えに必要であるかを分子レベルで明らかにするため、ColIb-P9の制御領域(inc-repY)を順次R100に置換した一連の人工プラスミドを試験管内で作成し、それらの複製能、コピー数、安定性を解析した。その結果、ColIb-P9のinc-repYをR100のrepA2-inc-repA6と置き換え、さらにrepA6領域内に存在するRNA二次構造IIIを正常に保持させたときのみ複製が可能であることが明らかとなった。この条件は天然型P307の構造と一致する。 ColIb-P9の複製開始蛋白質をコードするrepZ遺伝子(これはP307のrepAと同じである)の発現はRepZmRNA先導域においてRNAシュードノットと呼ばれる特異な構造の形成に依存する。このような構造がR100制御領域においても形成されるのかどうかを検討したところ、シュードノットは存在しないことを明らかにすることができた。この事実は機能的には同じように見えるColIb-P9とR100の制御機構が細部においては全く異なっていること、さらに、複製システムを構成する複製装置構成システムと制御システムが互いに独立に形成され、それらの組合せによって多様なプラスミドレプリコンを作出し得ることを示すものであり、極めて興味深い。
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