1993 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナを用いた高等植物の器官発生および刺激応答反応機構の分子遺伝子学的研究
Project/Area Number |
04454006
|
Research Institution | OKAZAKI NATIONAL INSTITUTES |
Principal Investigator |
岡田 清孝 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (50101093)
|
Keywords | 器官発生 / 形態形成 / シロイヌナズナ / 刺激応答 / 重力屈性 / アラビドプシス / トランスジェニック植物 / 突然変異体 |
Research Abstract |
1.花芽の形成初期に働く遺伝子の機能解析。 シロイヌナズナのagamousu遺伝子が転写因子としての機能を持つことを調べるために、大腸菌内で作らせた遺伝子産物が特異的に結合するDNAの配列を決定した。また、agamousu遺伝子の全領域、MADSボックス領域、Kボックス領域をそれぞれ常時発現する35Sプロモーターに結合してシロイヌナズナ植物細胞に導入し、トランスジェニック植物を作製して花芽の形質を調べた。agamousu遺伝子の全領域を過剰発現させた場合のみならずMADSボックス領域またはKボックス領域を過剰発現させた場合も花の形質が異常になることがわかった。また、agamous遺伝子の抗体を作製してシロイヌナズナの花芽組織の核内においてagamous遺伝子と結合しているDNA領域を単離する試みを続けている。さらに、apetala3およびpistillata遺伝子の産物が転写因子としての機能を持つか否かをあきらかにするために、DNA結合領域を決定している。 2.花芽の初期発生過程に特異的に発現する遺伝子の同定。シロイヌナズナの若い花芽からmRNAを抽出し、転写量が少なく、花芽以外の組織で発現していないcDNAクローンを分離した。その中から、アミドフォスフォリボシル・トランスフェラーゼ遺伝子およびLEA遺伝子が得られた。 3.トランスジェニック・シロイヌナズナの作製と挿入突然変異体の同定。組織的にトランスジェニック・シロイヌナズナを作製して突然変異体を分離するために、in planta法および減圧法を改良し、条件を検討して約500株のトランスジェニック植物を新たに作製した。その中から、根と胚軸の光屈性がともになくなった突然変異体や胚軸が長くなり根毛の成長が異常な突然変異体、雄性不稔突然変異体などを分離した。現在、変異遺伝子の単離を試みている。
|
-
[Publications] 阪本康司: "Proteins Induced by Physical stimuli in Root‐tips of A‐thaliana Seedlings." Plant Cell Physiol.34. 297-304 (1993)
-
[Publications] 白石英秋: "Nucleotide Seguences Recognized by AGAMOUS MADS domain of A.theliana invitro." Plant Journal. 4. 385-398 (1993)
-
[Publications] 岡田清孝: "シロイヌナズナのゲノム研究" 蛋白質核酸酵素. 38. 713-719 (1993)
-
[Publications] 阪本康司: "生物モデルとしての植物" 実験医学. 11. 135-141 (1993)
-
[Publications] 上田純一: "植物成長調節物質によるシロイヌナズナ花芽形成機構の解析" 日本農芸化学会誌. 67. 160-164 (1993)
-
[Publications] 石黒澄衛: "遺伝子クローニング法の実際" 植物細胞工学. 6. 142-147 (1994)
-
[Publications] 岡田清孝: "Cold Spring Harbor Laboratory Press" Arabidopsis. 450 (1994)