1993 Fiscal Year Final Research Report Summary
Project/Area Number |
04454009
|
Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (B)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生態学
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
川端 善一郎 愛媛大学, 農学部, 助教授 (80108456)
|
Project Period (FY) |
1992 – 1993
|
Keywords | 植物プランクトン / 内湾 / 黒潮 / 水質 / 急潮 / 相互作用 / 一次生産 / ポンプアップ機構 |
Research Abstract |
本研究の目的は、黒潮系の暖水塊が定期的に進入する内湾の一次生産機構を明らかにすることにある。この様な開放的内湾では植物プランクトンの現存量は黒潮の内湾への流入、すなわち急潮を起点とする外洋との相互作用を通して急激に減少し、その直後、短期間で回復する。しかし、なぜ現存量の急激な増加回復が起こるのかは解っていない。そこで、1)湾内への黒潮の進入、2)湾内海水の移動、3)黒潮と内湾海水との混合、4)急潮による底泥付近および間隙水の水質変化、5)急潮による湾内の水質変化、6)植物プランクトンの現存量分布、7)急潮が起きたことを想定した海水のAGP試験、8)急潮による内湾のAGP変化、9)急潮による光合成活性の変化、10)潮流、水質、植物プランクトンの動的連鎖関係の解析を行った。その結果、黒潮の内湾への定期的進入が底層の栄養塩濃度を上昇させ、かつ栄養塩を上層に汲み上げるポンプアップの役割を果たし、この水質変動に連動して、植物プランクトンが増加するという一連の連鎖的変化が起きていることが明らかになった。外洋と急潮を介して相互作用がある内湾の植物プランクトンの増殖機構は、栄養塩の表層への供給のされ方とその頻度が、湖沼や閉鎖性内湾の植物プランクトンのそれらとは著しく異なっており、海水の動きが水質、植物プランクトン現存量を決める重要な要因であることが指摘された。 今後の研究課題は急潮の規模と底質と植物プランクトン増殖量の関係を定量的に把握するための最適パラメーターの選定に関する研究と、急潮と急潮との間における植物プランクトンの動態の解明が必要であろう。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] 川端 善一郎: "急潮による内湾の物理構造・栄養塩・植物プランクトンの変化" 沿岸海洋研究ノート. 30. 27-36 (1992)
-
[Publications] Kawabata,Z.: "Water movement in a bay caused by the Kyucho" Nippon Suisan Gakkaishi. 59. 1305-1308 (1993)